目次
先行きが見えない時代に何をよりどころにするか?
大阪では、昨日(2021年4月19日)吉村知事が
緊急事態宣言の要請への考えも発しており、
いつでてもおかしくない状況です。
先行きが見えない・・・
経営者の方の偽らざる感情だと思います。
そんな時こそ、ぶれない未来への方針を
しっかり持っておきたいところです。
私のイメージは自転車の運転です。
自転車は、足元を見ているとふらつきます。
遠くに目線を置くと安定します。
多少ぶれても軌道修正できるます。
遠くの目線とは、例えば、
「未来の子供たちにいい世界を遺す」
といったようなものです。
子供がいる人なら、わが子の幸せを
願わない人はいないと思いますが、
我が子だけが幸せになることも出来ません。
また同じ思いの親を持つ子供たち
(18歳未満)が世界で23億人
(ユニセフ世界子供白書2019)もいるのです。
その子供たちの時代に、何を遺せるか?
わが社の事業を通して、どんな貢献ができるのか?
そんな視点で考えるのは、いかがでしょうか?
SDGsは一つの拠り所になります。
念のためSDGsとは?を簡単に触れると、
Sustainable Development Goals(持続的な開発目標)
の略で、2015年9月の国連サミットで全会一致で採択
された世界共通の目標です。
「誰一人取り残さない」持続可 能で多様性と
包摂性のある社会の実現のため,
2030年を年限として17の 国際目標が定め
られています。その下に,169のターゲット,
232の指標も決められています。
そして、SDGs達成に向けた取り組みは
一個人でも、もちろん中小企業でも出来ます。
経済合理性もあります。
なんせ世界中の目標であり課題です。
大きな課題は、大きな市場になる可能性が大です。
社会もESG(環境・社会・ガバナンス)を
重視する企業を応援する風潮です。
大きな市場になる可能性が高く、
社会からも応援されやすいテーマです。
局所・局面でのぶれは当然あるにせよ、
これほど、ぶれにくい目標や方針は
なかなかないと思います。
そういった視点で方針を持つことは、
目の前の環境に振り回されない
経営に必須のものです。
「三方未来よし経営」をコンセプトとする
当社としても外せないテーマです。
SDGsは金がかかる?
時々聞く話として、
「SDGsは金がかかる」というものがあります。
そもそも、その発想自体が視野狭窄ですが、
今日は、SDGsとお金について考えたいと思います。
事業に要する「お金」というのは「経費」ですが、
経費は、投資、消費、浪費に色分けできます。
〇〇は投資で、△△は消費、××は浪費と
明確に分けられるものではありません。
例えば、接待ゴルフや接待飲食。
その意図や取り組み方で投資にも
浪費にもなります。
使って、それっきりのお金は浪費です。
商品の原材料を購入するのは、一般的には
明日の売上につながる消費ですね。
しかし死蔵・廃棄となるような仕入れは浪費です。
投資的は、今すぐ売上・利益には
ならないけれど、将来の会社成長に必要なお金です。
SDGsの視点で、事業を見直し、成長のエンジンに
するのであれば投資です。
世の中で流行っているから、
何となく対応しよう…となると浪費になる
可能性があります。
事業にはすべからく、「何らかのお金はかかる」
ものですが、それを浪費とするか?投資とするか?
は、御社次第、取り組む人次第です。
SDGsは投資的に取り組むべきです。
世界のためでなくとも、自分や従業員の
子供たち・孫たちのために、
SDGsの観点での取り組みをしてほしいと思います。
明日は、投資である以上、
意図・狙いがあるはずですが、
その投資目的に触れていきます。
SDGsへの投資目的は?
SDGsを自社と社会への投資
と考える以上、意図・目的が必要です。
今日はSDGs視点での事業活動への投資
について、いくつかの視点で
見ていきたいと思います。
この投資効果というのは、
直接的に売上や利益もありますが、
それだけに限りません。
売上・利益
企業である以上、当然に目指すことです。
単なる守銭奴ということでなく、
お役立ち高(売上)を高めつつ、
適正利益を確保することは大切です。
事業継続により社会に価値を提供し
続ける為にも、雇用確保の意味でも、
納税を通して貢献する意味でも重要なことです。
資金を得やすくする。
ESG投資という言葉は、少し勉強している人
ならだれでも知っている言葉になりました。
中小企業だから、公開会社でないから、
投資家は関係ないと思う方も
いるかもしれませんが、今は直接金融が
容易になっていますし無関係ではありません。
私も一社、株以外の方法で私募債を持っています。
融資でもSDGsに取り組む会社を
優遇するものが多く出てきています。
「SDGs 融資」「SDGs 借入れ」
などでググれば多く出てきます。
ブランド価値が高まる。
エシカル消費という言葉が一般化して
きているように、倫理的な消費者であろう
とする機運が高まってきています。
「エシカル」 は「倫理的な」という意味。
消費者庁のサイトには、消費者それぞれが
各自にとっての社会的課題の解決を
考慮したり、そうした課題に取り組む
事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
とあります。
SDGsのゴール12「つくる責任・つかう責任」
に関連します。
倫理的な経営や商品は、
思慮ある人たちに支持され、応援されます。
逆、単に安い・お得だけの会社は
支持を得にくくなっていきます。
採用が有利になる。
ただ金儲けだけする企業よりも、
社会や未来に貢献する企業に就職したいと
思う学生が増えています。
優秀な人材ほど、その傾向が強いです。
優秀な人材を採用できる会社は成長します。
そうでない企業は没落します。
働く人の働き甲斐、帰属意識が高まる。
結果、離職率も減ります。
いくら(お給料が)もらえるかも
大切かもしれませんが、なぜ働くのか?
自分たちの活動にどういう意義があるのか?
もとても重要です。
金銭以外に、ここで働く意義を
共有できます。働き甲斐向上は、
従業員の自己啓発、新しい価値創造や
生産性向上につながります。
離職率も下がります。
コラボしやすくなる。
コラボは事業を化けさせる強力な方法ですが、
単に経済合理性だけでなく、理念や考え方に
共感性があることがとても重要です。
実際、私が知っているとある中小企業の社長は、
理念だけでその分野の世界トップ企業と
コラボして、大きく成長したと私に話してくれました。
そもそも
仕事とは、個性と長所を活かして
自他物心・そして未来を豊かにする
活動ですから、経済性のありナシ以前に
前提とすべきことのように思います。
思いつつままに書くだけでも
枚挙に暇がありませんが、
あなたなら、どんな意義・目的意識で
取り組みますか?
SDGsへ投資する経営資源は?
SDGsに関連する取り組みは、
自社と未来への投資です。
投資であれば、その投資する
経営資源ももちろん必要です。
SDGsへの投資は、
そもそもお金とは限りません。
経営資源は、一般的に、
「人、もの、金、情報、時間」と言われますが、
お金以外を順番に見ていきます。
人
働く一人ひとりの取り組みそのもので、
SDGsに貢献することが出来ます。
職場に限らず、日々の生活から意識する
ことで仕事での工夫も変わります。
もの
商品や材料の仕入れを見直す、
エシカル仕入れすることは、多少仕入れコスト
が上がるかもしれませんが、投資になります。
仕入コストの上昇に対しては、
価値の訴求・ブランディングを通して
売価に反映、適正利益を確保することも
同時に考えることになります。
環境にやさしい商品を開発することも
投資になります。
情報
そもそもSDGsについて、
SDGsに関連して自分達に出来ることを
知らないと、実効的な取り組みになりません。
こういったことを学ぶ機会を作ることも
企業の投資といえるでしょう。
また、自社の取り組みを社外に知って
もらうための情報配信も、市場や社会
から応援される会社になる為に大切なことです。
時間
人の行動や、製造方法の見直し、
学ぶ時間を設けるには時間が必要です。
その時間を成り行きでなく、
積極的に取ることは、時間への投資です。
キャッシュが必要になることもありますが、
直接的にキャッシュアウトすることなく
できることもたくさんあります。
自社で、どの経営資源を使って
何から取り組めるか?
まず自分達にできることから、
考えていきたいものです。
SDGsウェディングケーキ
SDGsがウェディングケーキ?
と思われた方も多いかも
しれません。
SDGsウェディングケーキは、スウェーデンの
レジリエンス研究所の所長が考案した、
“SDGsの概念”を表す構造モデルのことです。
SDGsは、それぞれバラバラの目標
ではなく、相互に密接に関連しあっています。
土台となる地球環境にまつわるもの、
地球環境の上に、経済活動をする土台の社会、
そのうえに経済活動と積み上げて
体系化してあり、それがあたかも、
積みあがったウェディングケーキの
ようなので、SDGsウェディングケーキ
といいます。
(ケーキのイメージ)
頂点
経済圏・経済圏
社会圏・社会圏・社会圏
生物圏・生物圏・生物圏・生物圏
体系的に全体像を理解しやすいと
私も思いますし、体系的に理解することで
自社の取り組みの意味付けもクリア
になると考えますので、共有します。
生物圏
つまり地球環境、この土台あっての社会や経済ということ
・目標6.安全な水とトイレを世界中に
・目標13.気候変動に具体的な対策を
・目標14.海の豊かさを守ろう
・目標15.陸の豊かさも守ろう
社会圏
社会環境が安心・安全・平等でなければ、
健全な経済発展は期待できない
・目標1.貧困をなくそう
・目標2.飢餓をゼロに
・目標3.すべての人に健康と福祉を
・目標4.質の高い教育をみんなに
・目標5.ジェンダー平等を実現しよう
・目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・目標11.住み続けられるまちづくりを
・目標16.平和と公正をすべての人に
経済圏
・目標8.働きがいも経済成長も
・目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう
・目標10.人や国の不平等をなくそう
・目標12.つくる責任 つかう責任
頂点
・目標17 「パートナーシップで目標を達成しよう」
SDGsウェディングケーキでは、
「経済圏」「社会圏」「生物圏」の3層の頂点に、
目標17 「パートナーシップで目標を達成しよう」があります。
国・企業・一人ひとりがパートナーシップ
を組むことで、持続可能な社会、
子供たち・孫たちにとっても幸せな社会、
美しい豊かな地球を遺そうということです。
大きく全体像を理解しておけば
よいと思います。
自社の取り組みがどのような
関連性で結ばれているか?を考えることも、
より納得感と実効性ある取り組みにつながります。