『選ばれる』時代に、何を手放すか ― 政策とAIが同時に問うもの
チームSKM 佐々木千博です。
水曜日、上村さんからのメルマガでは、
W杯の記事で、こんな話がありました。
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後がない状況になると
守備の人数を削ってでも前に出る。
センターバックも上がる。
多少無理なプレーでも、ゴールに向かう選択をする。
リスクを取るチームは、必ず何かを手放しています。
それまで大事にしてきた「守備の安全」を、です。
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実はこれ、サッカーの話だけではなく、
今まさに中小企業の現場で相似的に言えそうです。
1.二つの”外圧”が、同時にやってきている
一つは政策の変化。もう一つはAIによる変化です。
どちらも「これまで通りでは通用しませんよ」という、
同じメッセージを送ってきています。
2.政策は「選別型」へ
高市政権では、これまでの「無差別なばらまき」から脱却し、
成長性や波及効果、政策適合性を基準に重点配分する
「選別型」の支援へと方針転換が進んでいます。
分かりやすいのは、コロナ禍の「持続化給付金」(2020年)
あの給付金は、業種や成長性を問わず、
一律に支給される、いわば「無差別」型の支援でした。
これに対して、現在の中小企業向け支援は様変わりしています。
GX、DX・AI、半導体、経済安全保障といった
重点分野への資源集中が明確に打ち出され、
補助金の名称・要件にもその姿勢が表れています。
従来の「IT導入補助金」は「デジタル化・
へと名称変更され、AIを含むITツールの導入支援が
より強く打ち出される形になりました。
単なる延命ではなく、省力化・省エネ・成長投資といった
「前向きな投資」を要件とする方向に寄っています。
つまり、「困っているから助ける」ではなく、
「これから伸びようとしているから助ける」という基準に、
支援の性格そのものが変わりつつあるということです。
国が「全部は支えない」と決めたということは、
私たち企業側も「全部は続けない」という覚悟を、
いよいよ持たなければいけない時期に来ているのだと思います。
3.AIは「格差」を生み始めている
もう一つの変化はAIです。
中小企業のAI導入率はまだ2割程度という調査がある一方、
導入した企業の多くは効果を実感しているというデータもあります
つまり、動いた企業と動かなかった企業の差が、
静かに、しかし確実に広がり始めているということです。
面白いのは、成果を出している企業の事例を見ていくと、
共通点が見えてくることです。
全国に約200店舗を展開するある企業では、
紙の経費精算(毎月5,000枚規模)をAI-OCRによる
自動読み取りに切り替えました。
この企業は、
AIに任せた分、人の確認工程そのものを手放したのです。
別の企業では、AIチャットボットを問い合わせ対応に導入。
その結果、顧客数は前年比115%に増加した一方で、
問い合わせ件数自体は減少し、対応完了までの時間も
約20分短縮されています。
ここでも、AIに一次対応を任せた分、
「人がすべての問い合わせに目を通す」
一方で、同じようにAIを導入しても、
思うような成果が出ない企業も少なくありません。
多くの場合、その違いは技術力の差ではなく、
「念のため」「万が一のため」と、AI導入前の確認工程や
チェック体制をそのまま残してしまうかどうかにあります。
AIに読み取りや一次対応をさせながら、これまで通り
人が全件を目視で確認する運用を続ければ、
AIの工程と人の工程が両方動くことになり、
新しいことを足すのは簡単です。予算をつけて、
難しいのは、それまで当たり前だった工程やチェック、
誰かの役割を、「もう手放していいですよ」と決めることです。
これは実際、いくつかの調査でも間接的に裏付けられています。
生成AIの活用を「個人任せ」
調査結果がありますが、これはおそらく、組織として
「この業務はAIに任せて、この確認作業はやめる」
誰も正式に下していないことの表れなのだと思います。
決められないから、結局は個人の裁量に委ねられてしまう。
(そして、野良AI活用はセキュリティ的にも×です)
これもまた、W杯の話と同じ構造です。
攻めに転じるチームは、守備の安全という何かを手放してから、
AIも同じで、本当に効果を出している企業は、
AIを「足す」と同時に、何かを明確に「やめて」います。
4.一枚のポートフォリオで考えてみる
政策対応も、AI対応も、バラバラに降ってくると、
でも本当は、この二つは同じ問いにつながっています。
「限られた経営資源を、どこに配分するか」
政策変化への対応も、AI活用も、結局は
この一枚の絵の中でしか決められないのだと思います。
さて、次週の私の回では少し視点を変えて、この「捨てる」という
決断そのものが、なぜこれほど難しいのか、
心理的な仕組みから紐解いてみたいと思います。
「分かっているのに、やめられない」
これ、実は誰にでも心当たりがあるのではないでしょうか。
PS.来週のさんよし会は、私も興味津々、
になりそうです。ぜひ、気楽に覗いてみて下さいね
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