あなたの会社、パープル企業になってませんか?

チームSKM 佐々木千博です。


「ブラック企業にならないように」

これは、今や経営者や管理職にとって一般的な認識になりました。


・長時間労働を減らす。

・有給休暇を取得しやすくする。

・ハラスメントを防止する。

・上司が部下に過度なプレッシャーをかけない。


もちろん、どれも大切なことです。


ところが最近、その反対側で新たな問題が起きています。

「働きやすい。でも、成長できない」
そんな会社です。

こうした職場を「パープル企業」と呼ぶそうです。

 

■「ゆるブラック企業」と「パープル企業」

私は著書『感動経営の教科書』の中で、
「ゆるブラック企業」という問題を取り上げました。

一見するとホワイト企業です。

残業は少ない。
上司も優しい。
職場環境も悪くない。


ところが、そこで働く若手から、

「ここにいても成長できない」
「次のキャリアにつながらない」
「自分の市場価値が高まっている気がしない」

という声が出てくる。

これが、ゆるブラック企業です。


今回知った「パープル企業」という言葉も、
まさに同じ問題構造を別の角度から捉えています。

ブラックを避けようとするあまり、仕事から
「負荷」「責任」「挑戦」「フィードバック」まで取り除いてしまう。

その結果、働きやすいけれど、
成長できない職場になってしまうのです。


成長できない職場で、生まれる不安が「キャリア不安」です。
実はこれは私も30才の頃に感じたことがありました。

「このままでは、イマイチなビジネスパーソンになってしまう!」

そう思った私は、たまたま中小企業診断士の勉強を始め、
合格して、自分の可能性を広げることが出来ましたが、
勉強ではなく転職を選ぶ人も多いことでしょう。

 

■「優しいように見える上司」が奪うのは成長機会

例えば、部下が少し物足りない資料を提出してきた。
上司はそれに気づいています。

しかし、

「これくらいならいいか」
「細かく言うと嫌がられるかな」
「下手なことを言ってパワハラと思われても困る」

と、何も言わない。


部下からすれば、怒られないので一見楽に見えます。
しかし同時に、自分の何が足りないのかを知る機会も失っています。


または、

「まだ若いから」
「失敗させたらかわいそうだから」

と、簡単な仕事ばかり任せる。


これも一見、部下思い。優しいように見える。


しかし本人からすると、

「私はいつになったら重要な仕事を任せてもらえるのだろう」
「3年後も同じ仕事をしているのだろうか」

という不安につながります。


人は、楽だから成長するわけではありません。
少し背伸びしなければ届かない仕事に挑戦し、それを乗り越えることで成長していく。

必要なのは放置でも過保護でもなく、適度なストレッチと伴走ですね。

上述の「優しそうに見える上司」というのは、実は、
自分と部下に甘いだけの上司だったということです。


■その先にある「静かな退職」

そして私がさらに怖いと思っているのが、「静かな退職」です。

会社は辞めていない。
毎日出社もする。
頼まれた仕事もする。

しかし、

「言われたことしかやらない」
「給料分だけ働けばいい」
「余計なことには関わらない」

という状態になる。

身体は会社にいても、心はすでに会社から離れている。

これが静かな退職です。



パープル企業やゆるブラック企業が続くと、二つの方向が考えられます。

一つは、成長意欲の高い人が会社を去ること。
「会社に大きな不満はありません。でも、もっと成長できる環境に行きたいです」
と言って辞めていく。


もう一つは、

会社には残るけれど、挑戦しなくなること。
これが静かな退職です。
経営にとっては、こちらも非常に深刻です。

退職者数には現れません。
しかし、職場から少しずつ主体性やエネルギーが失われていきます。


意欲ある人は去り、ぶら下がり型の静かな退職社員ばかり
になった会社に未来はあるでしょうか?

 

■1on1をやっているから安心、ではない

そこで最近は、増えているのが1on1です。

しかし、

「最近どう?」
「何か困ってる?」
「特にありません」
「じゃあ引き続きよろしく」

で終わっていないですか?


大切なのは、面談という制度ではありません。

「これからどんな仕事をしてみたい?」
「今の仕事で成長している実感はある?」
「どんな力を身につけたい?」
「何かサポートして欲しいことある?」

本人のWILL、つまり「何を目指したいか?」
「どうありたいのか」について対話することが大切ですね。


そして会社側も、

「あなたには、ここまで成長してほしい」
「次はこの仕事を任せたい」

と期待をしっかり伝える。

この双方向の対話が必要なのだと思います。

 

■「人に優しく、コトに厳しく」

昔のような厳しい職場に戻せばいいのでしょうか。
それは、もちろん違います。

「君は責任感がない」
と人格を責める必要は勿論ありません。


例えば改善のフィードバックであれば、
「今回は納期直前まで進捗共有がなかった。次回は2日前には一度相談してほしい」
と、性格ではなく行動を扱う。


頑張っているけれど、必要なレベルに達していない時であれば、

「ここまでかなり頑張って取り組んでくれてありがとう。
 ところで、今回求められているのは“情報を整理した資料”ではなく、
 “お客様が意思決定できる提案書”です。
 現状はまだそこまで達していないので、課題の特定と提案の根拠
 をもう一段深めて、出し直してもらえますか?
 これを一緒に乗り越えていこう」

仕事で成果を出すために必要なレベルには妥協しない。
ダメなものは、ダメと伝える。
一方で、相手の可能性を信じて向き合う。付き合う。伴走する。

私はこれを、「人に優しく、コトに厳しく」と言っています。
人を大切にすることと、仕事の基準を下げることは同じではありません。


■「働きやすい会社」の、その先へ

働き方改革によって、日本の職場は確実に働きやすくなりました。
これは大きな前進です。

しかし次に問われるのは、
「働きやすくなった時間と余力を、何に使うのか?」


 挑戦する。

 学ぶ。

 誰かに貢献する。

 仕事を通じて成長する。


そうした機会までなくしてしまえば、ホワイト化した職場が、
いつの間にか「ゆるブラック」「パープル企業」になり、
その先に「意欲ある人の退職」か「静かな退職」が広がっていきます。


目指したいのは、

「嫌なことがない会社」ではなく、
「安心して挑戦でき、成長できる会社」。


あなたの会社は今、どちらに向かっているでしょうか?


一緒に、安心して挑戦でき、成長できる会社。
成長のよろこびが溢れる会社つくっていきましょう。

 

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