若手の「キャリア不安」を解消する施策
前号で「不安型退職」という新しい退職理由
について触れました。
ホワイト企業にしたのに辞めていく。
これは将来への「キャリア不安」で、それを
「不安型退職」と言いました。
折角、労働環境の改善や労働時間の短縮など努力して
若手の離職率を下げる努力を続けてきても、
離職率が下がらないとしたら残念ですね。
若手社員の中には、
「自分はこのままで成長できるのか?」
「他の職場で通用するスキルが身についているのか?」
という不安を強く感じる人が多いのです。
こうしたキャリア不安が、離職の原因となり、
結果的に「不安型転職」を引き起こしています。
では、どうすればこの不安を解消し、
若手が会社に安心して定着できるのでしょうか?
以下、考えられる対策をいくつか列挙したいと思います。
尚、対策は戦術レベルのことに過ぎないので、
土台として一緒に働く仲間の人生をやり甲斐ある
豊かなものにしていこうという考え方や基本姿勢が
大切ですし、
戦術は自社の状況を踏まえて柔軟に修正したり、
改善していくことが必要です。
では、いつくつか施策をあげていきます。
■定期的なキャリア面談や対話を増やす
若手社員との定期的なキャリア対話を設けます。
業績に関するフィードバックや目標設定の面談
だけでなく、一人一人のキャリア全般に関する対話を
大切にしましょうということです。
彼らの人生ビジョンや、そのためにどのような経験や
スキル修得を欲しているのか理解し、
それに応じた成長機会を提供することです。
■横の関係での成長機会を提供
上下関係ではなく、同期や同僚との横の関係で
成長できる場を設けることも有効です。
権限と責任を与えて、同世代だけで切磋琢磨
しながらプロジェクトを完遂するような施策は、
厳しくも、成長実感を共有しあえることになり、
関係性を築きながら成長することが出来ます。
若手ではないですが、最近私が関わった
プロジェクトにおいても、横の繋がりの中で、
関係性が深まり、また大きく成長を感じられる
場面がありました。
教えるのでなく、共に育ち合う環境を用意
するという考え方です。
■社外での経験を奨励する
社外での経験も奨励し、それを社内で
還元できる仕組みを作ることです。
副業を許可するだけでなく、これを一歩進めて、
外部で得たスキルや経験を自社の業務に
どう活かすかという視点を重視します。
私自身、サラリーマンの時、社外でやっていた
中小企業診断士としてのプロボノ活動が、
自社でも非常に活きた経験があります。
また当社の副業で参画してもらっているメンバー
にも、当社での経験は本業の会社でバンバン
使って欲しいと伝えています。
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こういったことをやっていくことで、
この会社にいることが、自分の成長を後押し
してくれる。転職前提ではないが、転職にも
耐える自分を育ててくれるという実感になります。
結果、定着し、活躍してくれるわけです。