現場のメンバーからの相談にご用心

前号で課長、部長などの「長」の育成について
意思決定をたくさんしてもらうこと、
ということをお伝えしました。

「任せて任さず」、放置ではなく、
見守りながら、時に歯がゆくてもグッと「ガマン」
して、意思決定を委ねる。

個人差はありますが、
それを1年、2年とやっていく中で、
意思決定できる「長」が育っていきます。



そんな「長」の育成にとって、
成長速度を落とす要素があります。

日常的なことで、悪意なくやってしまいがち
なことなので注意が必要です。


以下、キャリアの浅い課長を育成したい「長」
上司を社長として話を進めます。


中小企業のいいところは、現場のメンバーと
社長の距離が近いことです。

それはいいことなのですが、
距離が近いが故に、現場メンバーが
課長を通り越して、社長に相談することがあります。


「社長、〇〇の件、実行していいでしょうか?」


社長も自然に、
「〇〇を前提に、OK!」
「途中で引っかかったらいつでも相談して♪」
と答えたりします。


これが要注意!です。



現場のメンバーからすると、
なりたて課長より、社長の方が安心感
あるのが当たり前です。

なりたて課長も、社長が
決裁してくれたら安心です。



ですが、これが増えると、
意思決定から逃げることになります。

更に言うと、
現場のメンバーも、課長を軽んじる
わけではありませんが、課長に
相談する習慣になりません。

社長の仕事も、未来を創る仕事でなく
現場仕事の比率が
どんどん高くなってしまいます。



さて、では、どうすればいいでしょうか?


現場リーダーから相談されたら、
社長はこういいましょう。

「〇〇課長に任せているので、
 〇〇課長に相談してください。」


冷たいようですが、これが大きな目
で見た時に大切です。



勿論、コミュニケーションしては
いけないという意味ではありません。

気持ちに寄り添ったり、
想いのコミュニケーションはたくさん
してほしいですし、理念やミッションに
ついて社長はたくさん話して欲しいです。

しかし、ラインの仕事、実務の相談は
ダメです。課長を育てることにならないし、
権限委譲も進みません。組織が育ちません。


数人の会社であれば、社長直でいいと
思いますが、一定規模以上になって
組織化している、組織化していくときには
注意してくださいね。