とあるリーダーが決断した場が部署の心理的安全性を動かした話

チームSKM 上村です。


経営者や管理職の方から、こんな言葉を聞くことがあります。


「何かあれば相談してほしい」

「意見があるなら、遠慮なく言ってほしい」

「困っているなら、早めに言ってほしい」


おそらく、本心からそう思っているのだと思います。

 

しかし、上司が「遠慮なく言ってほしい」と思っていることと、
メンバーが「本当に言っても大丈夫だ」と感じていることは、
必ずしも同じではありません。

 

この認識の違いが、心理的安全性を考えるうえで重要なポイントです。

 

リーダーとメンバーでは、職場の見え方が違う

私が担当しているリーダー研修では、
心理的安全性に関する複数のアンケートに、
リーダーとメンバーの両方から回答してもらう取り組みを行っています。

 

例えば、


「困ったときに、周囲へ助けを求めることができるか」


といった項目について回答してもらいます。

 

もちろん、誰が何点をつけたのかは開示しません。

そして、数値にギャップがあった場合には、
その違いを題材にして、メンバーと対話してもらいます。


「なぜ、この項目に違いが生まれたのだろう」


そのような対話を通じて、職場の見え方の
違いを理解することが目的です。

 

アンケートの結果を、真摯に受け止めたリーダー

研修に参加してくださっていた、あるリーダーの方のお話で
とても印象的な話がありました。


その方の部署でも、リーダーとメンバーの回答に
一定のギャップがありました。


ご本人は、その結果に少しショックを受けられたそうです。


自分としては、メンバーの話を聞いているつもりだった。
相談しやすい関係をつくっているつもりだった。

しかし、メンバーが感じている職場の姿は、
自分が見ていたものとは少し違っていた。

その事実は、リーダーにとって決して
受け止めやすいものではなかったと思います。

 

それでも、その方は結果を否定したり、
言い訳をしたりするのではなく、真摯に受け止めました。


そして、あらためて部署のメンバーに
アンケートを実施したそうです。


記述式で、次の二つの問いに答えてもらいました。

 

「心理的安全性というものについて、どのように考えていますか」


「この部署をより良くしていくためには、どうしていけばよいと思いますか」

 

さらに、アンケートを取るだけで終わらせず、
メンバー全員を集めて話し合う場を設けました。

 

人を黙らせる「4つの不安」

その話し合いの場で、リーダーは、
心理的安全性を下げる「4つの不安」について紹介されたそうです。

 

一つ目は、無知だと思われる不安です。

「こんなことを質問したら、そんなことも
 知らないのかと思われるのではないか」

そう感じると、人は分からないことがあっても質問しなくなります。

 

二つ目は、無能だと思われる不安です。

「ミスを報告したら、仕事ができない人
 だと思われるのではないか」

そう感じると、人は失敗を隠したり、
一人で何とかしようとしたりします。

 

三つ目は、邪魔だと思われる不安です。

「忙しそうな人に相談したら、
 今それを言うなと思われるのではないか」

そう感じると、必要な相談や報告を後回しにします。

 

四つ目は、ネガティブな人だと思われる不安です。

「問題を指摘したら、文句ばかり言う人
 だと思われるのではないか」

そう感じると、人は懸念や反対意見を飲み込みます。

 

質問しない。
ミスを報告しない。
問題に気づいても指摘しない。

 

これらは、一見すると本人の消極性や
主体性の問題に見えるかもしれません。

 

しかし、その背景には、

「どのように受け取られるか分からない」

「悪く評価されたくない」

「人間関係を壊したくない」

という対人関係上の不安が隠れていることがあります。

 

「私たちの不安を、分かってくれた」

リーダーが4つの不安について話したとき、
メンバーのうち二人が涙を流されたそうです。


なぜ涙が出たのか、
正確な理由は本人たちにしか分かりません。


ただ、おそらく、自分たちが職場で感じていたことが、
4つの不安のどれかに重なっていたのではないでしょうか。


質問したいのに、無知だと思われそうで聞けなかった。

助けてほしいのに、無能だと思われそうで言えなかった。

相談したいのに、忙しい相手の邪魔になる気がして、声をかけられなかった。

問題を感じているのに、ネガティブな人だと思われたくなくて、黙っていた。

 

それまで自分の中だけにあった不安に、初めて名前がついた。

 

そして、

「このリーダーは、自分たちが感じていることを
 分かろうとしてくれているのかもしれない」

「私たちの不安を、言葉にしてくれた」


そう感じたのかもしれません。

 

自分たちが感じていたことを否定せず、理解しようとしてくれた。

その姿勢が、メンバーの心に届いたのではないでしょうか。

 

話し合いの後、部署の雰囲気が変わった

その話し合いの場が終わった後、部署の雰囲気に変化が生まれたそうです。

あるとき、誰かが仕事で困っていました。

すると、周囲のメンバーが次々と集まり、
よってたかって、みんなで助けようとする光景が生まれたのです。


その様子を見たリーダー自身も、驚きを隠せなかったそうです。


話し合いをする前であれば、


「自分の仕事ではない」

「手を出したら、かえって邪魔になるかもしれない」

「余計なことをすると、出しゃばっていると思われるかもしれない」


そのような不安から、声をかけることをためらっていたのかもしれません。

しかし、4つの不安について一緒に考え、
部署を良くするための対話を行ったことで、

 

「困っている人を助けてもよい」

「自分から声をかけても大丈夫だ」

「一人で抱え込まなくてよい」

 

という感覚が生まれたのではないでしょうか。

 

もちろん、一度話し合いをしただけで、
心理的安全性の高い組織が完成するわけではありません。

 

一時的に雰囲気が良くなっても、忙しくなれば元に戻ることもあります。

 

それでも、この出来事は、部署にとって
小さいけれど、とても大きな一歩だったのではないかと思います。

 

自分とメンバーが見ている職場の景色には
違いがあるかもしれないと認め、
まず声を聞こうとする姿勢が大切です。


皆さんの職場では、メンバーが感じている
「無知・無能・邪魔・ネガティブと思われる不安」を、
安心して言葉にできているでしょうか。

 

そして、リーダーが見ている職場と、
メンバーが見ている職場は、同じでしょうか?


まずはこの4つの不安の対話から始めてみてください。

 

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是非とも興味とタイミングがあえば参加いただき一緒に楽しく学びましょう!


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