正しさを握りしめすぎてませんか?
「思考の罠」シリーズ 第二弾です。
人は誰しも「思考」の癖があります。
癖はあって当たり前ですが、時にそれに溺れない
ことも大切だなと思うのです。
今日は「正しさ」について。
勿論、日々の意思決定の中で、「これが正しい」
と確信を持って進めることも大切です。
例えば、理念を日々疑っていては、いい会社経営も
組織経営もできません。
しかし一方で、「正しさ」に拘泥しすぎると、
おかしくなってしまうこともあります。
例えば、「コスト削減が最優先だ」と考える財務部長と、
「品質こそが命だ」と主張する製造部長。
どちらも会社のためを思い、自分の立場から
「正しい」判断をしているかもしれません。
ここで大事なのは、「正しさ」には必ず前提が
あるということ。その人ならではの価値観であったり、
職種ならではの価値観であったりです。
財務部長の正しさの前提は「収益性の確保」であり、
製造部長の前提は「顧客満足の維持」かもしれませんね。
どちらも「正しい」のです。
個人の価値観なら、尚更です。
「正しさ」の反対は「間違い」ではなく、
「もう一つの正しさ」なのですね。
避けたいのは、お互いが自分の「正しさ」だけ
を主張し合う状況です。最悪の場合、これが組織内の
分断や対立につながったりします。
社会的に「正しさ」を突きつけ合った最悪の形が戦争です。
宗教戦争などは、まさにそうですね。
終わりなき、血で血を洗う戦争は21世紀の今も起きています。
どちらも「正しい」からやっかいです。
私の経験でも、「製版連携」という言葉がたくさん
言われてきましたし、それは裏を返せば、
製造と販売の衝突や非連携がたくさんあった
ということで、私もその間に挟まれてきた
経験がたくさんあります。
製造部門はきっちりモノづくりをしたいし、
コロコロと予定を変えられたくないという
前提・背景があり、
「予定は早く正確に指示してもらわないと困る」
と思い、それを正しい姿と考えがちです。
営業部門はお客さまのニーズに応えるレスポンス
の良さが大事であり、ニーズは変わることもある。
それに答えるのが会社の使命だと思っている。
どちらも「いい仕事をしたい」というのは
同じだったりするのですが、ぶつかったりします。
大切なのは、相手の正しさの背景を理解しようとし、
同時に自分の背景も理解してもらおうとする姿勢ですね。
それが相互理解につながり、より高次の解決策や
第三の道を生み出すことにつながります。
もし意見が対立したとき、
「彼らは何を大切にしているのだろう?」
と一度立ち止まってみてください。
そして「私が大切にしていることは何か」を伝えてみてください。
「正しさ」を握りしめるのではなく、
互いの「正しさ」を持ち寄ることで、
よりよい選択肢やアプローチが生まれるはずです。