熱中症対策、大丈夫ですか?「法律だから」で終わらせない、大切な視点

いよいよ本格的な夏の到来ですね。
今年の夏も、厳しい暑さとなる予報が出ています。

さて、あなたの会社では、夏の「熱中症対策」は万全でしょうか?

既にご存知の方も多いかと存じますが、
今年の4月1日、そして6月1日から、
労働安全衛生規則の一部を改正する省令が施行されました。

「また新しい規制か…」「対応が大変だ」
そんな心の声が聞こえてきそうです。

もちろん、法改正への対応は企業として当然の務めです。
しかし、今回のテーマでお伝えしたいのは、
そうした「法律だから、やらなければならない」
という視点だけではありません。


私が最もお伝えしたいことは、
「法規制への対応は、従業員がイキイキと働ける
 環境をつくる絶好の機会である。」

ということと、
「そもそも、そういった環境づくりは会社の
 未来を創る重要な経営戦略である」 ということです。



「安全配慮義務」

今回の法改正で、事業者が行うべき熱中症対策が、
これまで以上に具体的かつ明確に示されました。


例えば、かねてより指針で推奨されてきた
暑さ指数(WBGT)の測定や、それに応じた休憩の確保、
作業を管理する体制づくりなどが、今回の改正で、
特にリスクの高い現場における事業者措置として、
より明確に位置づけられました。

「全ての職場で、これが新たに義務化された」
というわけではありません。

しかし、国がこれだけ具体的に対策を示すということは、
それだけ熱中症による労働災害を重く見ていて、
すべての事業者に「より一層、主体的に従業員の
安全を守ってください」と強く求めているということでしょう。


もともと、企業には従業員に対する「安全配慮義務」
というものがあります。

従業員が心身の健康を損なうことなく、
安全に働けるように配慮するという使用者の義務です。


熱中症で倒れてしまえば、ご本人が苦しむのはもちろん、
会社にとっても大きな損失です。

労働災害となれば、生産性が低下するだけでなく、
他の従業員にも不安が広がり、
ひいては「人を大切にしない会社」というイメージが
定着してしまうリスクさえあるといえます。


熱中症対策は単なる「コスト」や「手間」ではありません。

従業員の健康と安全を守り、
安心して働ける職場環境を整えることは、
人財の定着、エンゲージメント向上、生産性向上
に直結する「投資」と考えて欲しいのです。



経営者ができること


熱中症対策を「法律だからやる」という受け身の姿勢でなく
会社での主体的な取り組みにするには何が必要でしょうか?


大切なのは、経営者やリーダー自身の「姿勢」と思うのです。


例えば、

・現場に足を運び、現場を肌で感じる

「この場所は特に暑いな」「西日がきついな」など、
現場に立つことで初めて気づくことがあります。


・「水分補給してるか?」「無理するなよ」と声かけ

ちょっとした気遣いの一言が、現場の注意喚起となり、
従業員の安心感にも繋がりますね。


・休憩所の環境をチェックする

「涼しい場所で、ちゃんと休めているか?」を確認し、
必要であればサーキュレーターを置く、
冷たいおしぼりを用意するなど、できる改善をしたいですね。


・会社として飲料提供の仕組みを作る

自動販売機の飲み物を一部補助したり、
経口補水液を常備したりするだけでも、
会社からのメッセージとしても伝わりますね。



こうした小さな行動の積み重ねが、
「会社は自分たちのことを大切に思ってくれている」
という信頼に育っていきますね。


働いてくれるメンバー一人ひとりが
「この会社で働けて良かった」と思える環境を創り上げること。
それこそが、企業の最も大切な土台になりますね。


この夏を、改めて従業員の労働環境を再点検して、
より良い職場づくりの一歩を踏み出す機会
としてみてはいかがでしょうか。