「何を言うか」ではなく「誰が言うか

チームSKM 吉田です。


先日受講した研修で、
アリストテレスの弁論術「ロゴス・パトス・エトス」が
取り上げられました。

2400年前の思想が、現代のリーダーシップ論や
コミュニケーションの核心にあるという事実に、
改めて驚かされます。


<ロゴス・パトス・エトスとは何か>

私なりに整理すると、次のようになります。

ロゴス(論理) 何を言うか
         論理性、根拠、わかりやすさ

パトス(感情) どう伝えるか
         熱意、覚悟、本気度

エトス(人格) 誰が言うか
        信頼、誠実さ、生き方そのもの

アリストテレスは
エトスこそ最も強力な説得手段である」と述べています。
つまり、言葉の価値は「誰が言うか」によって決まるということです。


<現場で思い出したある言葉>

この話を聞きながら、
私は工場責任者だった20年前の頃を思い出しました。

当時の私は、ある世界的経営者(ここでは「C・G氏」としておきます)
の言葉をよく引用していました。
考え方がシンプルで、
特に「現場に行け」「現場に真実がある」というフレーズは、
現場主義を大切にしていた私の背中を強く押してくれました。

会議でも、若手指導でも、私はよくこう言っていました。

「現場を見ずに判断してはいけない」

その言葉には、確かに重みがありました。
私自身も、その考え方に深く共感し、強い信頼を
寄せていたのだと思います。


<言葉が色あせる瞬間>

しかし、皆さまご存じの通り、あの事件が起きました。
世界を揺るがすニュースとなり、
彼の名は一夜にして別の意味を持つようになりました。

不思議なもので、
あれほど私を奮い立たせていた
数多くの「C・G氏の名言」が、
急に色あせてしまったのです。
まるで魔法が解けたようでした。

言葉そのものは変わっていません。
現場主義の価値も揺らいでいません。

むしろ、松下幸之助さんも、稲盛和夫さんも、
同じように「現場に学べ」と語っています。
本質は普遍です。

それでも響かなくなった理由
それがエトスでした。


<エトスが言葉の価値を決める>

言葉の価値は、
話し手の人格・生き方・信頼と切り離せません。
どれほど正しい言葉でも、語る人のエトスが揺らげば、
言葉の力は弱まります。

実はこのブログを書くにあたり、
自宅に段ボールに入れたままのC・G氏の本が
(数冊おそらく5冊ほど) ある事を思い出しました。
ただ、あえて読み返すことはしませんでした。
なんか触れられたくない思い出みたいな感じだからです。

一方で、松下幸之助さんの「素直な心」、
稲盛和夫さんの「利他の心」は、
今もなお多くの人の心を動かし続けています。

それは、言葉の背後にある「生き方そのもの」が
揺るぎないからです。


<自分の言葉で語るということ>

工場責任者として現場に立っていた頃、
私が大切にしていたのは、
「誰かの言葉を借りること」ではなく、
「自分の言葉にして語ることでした。

当時はC・G氏の言葉を引用しながらも、
実際には私自身のエトスで現場を動かそうと
していたのだと、今になってはっきり思います。


<まとめ>

今回の研修の一コマをきっかけに、私は改めてこう感じました。

言葉は、発する人の生き方によって価値が決まる。
そして、リーダーは自分のエトスで語らなければ、人は動かない。

アリストテレスの三要素は、
2400年前から変わらない「人を動かす原理」です。

私自身も、これからはより一層、
自分のエトスで語れる人物でありたいと強く思っています。


*********
イキイキ働きたいカッコイイ大人のベースキャンプさんよし会」
https://s-kando.com/service/sannyoshikai