目の前に見えているその人が、その人の全てではない。

チームSKM 上村です。

「この人は、こういう人だから」

職場の仲間や、普段よく接する相手について、
そんなふうに思うことはありませんか?

積極的な人。
厳しい人。
あまり自分の意見を言わない人。

一緒に過ごす時間が長くなるほど、
相手のことを分かっているように感じます。

けれど、じっくり話を聴いてみると、
自分が知っていた姿とは違う一面に出会うことがあります。



■ある支援先での面談にて感じたこと

先日、ある企業で社員の方々と個別に対話する中で、改めて感じたことがありました。


目の前に見えているその人が、その人の全てではない。


ある方は、話をするのがとても上手な方です。
自分の考えを整理し、言葉にして伝えられる。
まだ20代半ばと若いながら人前に立つと周りがうなるほど
うまくプレゼンテーションをされる。

私から見ると、しっかりとコミュニケーションを取れる方という印象でした。

ところが、話を聴いてみると、人見知りの一面があることが分かりました。
自分からは積極的に人に話しかけられないとのことでした。

しかし、言葉をまとめることは得意なので、
プレゼンはそれを口にするだけだから大変ではない。
ということだったようです。

話すことが上手にできるからといって、
人と話すことに苦手意識がないとは限らない。

外から見えている「できている姿」だけでは、その人の内側にある感覚までは分からない。
そんなことを考えさせられました。


また、別の方との対話では、人にきつく言うことが苦手だという話がありました。

その方は身体も大きく、体育会系の雰囲気で営業の方だったので、
人に対してズバッと言える人だと思っていました。

しかし、実際に彼と話をしてみると、体育会系で厳しく言われてきたので忍耐力はついたが、
自分が人に厳しくいうことは出来ない。
思っても見て見ぬふりをしてしまうかもしれない。

そんなことを言われました。


さらに、もう一人の方は、自分の考え方に固執したり、自分にはない考えは受け取らない。
そんな印象を受けていました。
というのも、ある研修の場でその方の発言がそういうニュアンスのことを言っていたからです。

後から聞くと、その場を見ながら、自分の役割に応じて発言していることが分かりました。

他の方が発表をしないから、
自分の意見を言っても言いんだよとか、
これくらいの発言でもいいんだよというふうにハードルを下げたかった。

そんな意図を話してくれました。

私たちは、相手の発言を聴くと、それをそのまま、その人の性格や考え方として受け取りがちです。
けれど、その言葉には「この場で、自分はどんな役割を果たす必要があるか」という判断が含まれていることもある。

 


先入観を一旦、置くことと、対話をすること

三人との対話を通じて、
私自身も、見えている一面から相手を理解したつもりになっていなかったか、
と考えさせられました。


では、相手を理解するためには、どうすればいいのでしょうか。

まず大切なのは、先入観を持って決めつけないことだと思います。

ただ、「先入観をなくそう」と意識するだけで、
相手のことが分かるわけではありません。
こちらの思い込みを取り除いても、
まだ知らないことは、知らないままです。


だからこそ、先入観をいったん脇に置いたうえで、実際に対話することが必要なのだと感じます。

例えば、上記の皆さんには私からこんな問いやフィードバックをした結果、
上記のような自己開示をしてくださいました。

「本当に〇〇さん、人前で話をされるの上手いといつも感じていました」

「体育会系で、ご自身はきつく先輩から接せられて、その体験がどう今に影響を与えていますか?」

「〇〇さんのあの時の発言から私はご自身の考えをしっかり持たれている方だなと感じました。」
「私は結構色々な考えを吸収するタイプなので、そういう視点も持たれるのも良いかなとも思いましたが、いかがですか?」

こちらからどう見えたかと、
本人がどう感じていたか。

その両方を確かめることで、相手への理解が深まっていきます。

そのときに気をつけたいのは、
新しく知った一面で、また相手を決めつけないことです。

「よく話す人だと思っていたけど、本当は人見知りなんだ」と、
一つの見方を別の見方に置き換えるだけでは、
またその人を狭く捉えてしまうかもしれません。

職場で相手を理解することは、
関わり方を考えるうえでも大切です。
表面に見える行動だけで判断すると、
励ましているつもりが負担を増やしたり、
任せているつもりが困りごとを見落としたりすることもあるでしょう。

一方、本人が何を感じ、何を考えているかを知ると、
「では、どんな関わり方をしたらよさそうか」
「どうすれば取り組みやすくなるか」といったことも一緒に考えられます。


皆さんの周りに、「この人のことは、もう分かっている」と感じている相手はいませんか?

その方に、まだ聴いたことのない思いや、普段は見えていない葛藤があるかもしれません。

「私はこう見ていたけれど、本人はどう感じているんだろう」

そんな好奇心を持って、一つ問いかけてみる。
私自身も、目の前にいる人を理解したつもりにならず、対話を重ねていきたいと思います。

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