取適法 価格交渉は「年2回のチャンス」
チームSKM 吉田です。
2026年1月に施行された
「中小受託取引適正化法(取適法)」は、
中小受託事業者から価格協議の求めが
あったにもかかわらず、協議に応じなかったり、
必要な説明を行わなかったりするなど、
一方的に価格を決定する行為を禁止しました。
これまで「値上げを言いづらい」
「どうせ聞いても変わらない」と感じていた
中小企業にとって、状況は大きく変わっています。
今回は、受託側がどのように見積書を見直し、
年2回の「価格交渉促進月間」をどう活用すべきかを、
私自身の経験も交えて整理します。
<デフレ時代の常識を捨てる~受託側が身につけるべき交渉姿勢~ >
調達責任者として「買う側」にいた時代、
こちらがコストダウンを求めれば、
多くの会社はほぼ自動的に応じてくれました。
デフレが続き、価格据え置きすら難しく、
値上げなど受託側からは言い出せない時代背景が
あったためです。
しかし当時でも、強い会社は違いました。
「これ以上は下げられません」と明確に伝え、
根拠を示し、必要な説明を行い、
交渉が難航することも多々ありました。
安易に受け入れず、自社の価値を守る姿勢は、
調達側から見ても尊重すべき態度でした。
この経験は、受託側が「言わないまま据え置きに甘んじる」ことの
危うさを示しています。
交渉しないことは、単価が下がる以上に、
自社の価値を低く見積もられるリスクを生むのです。
今は取適法によって「協議に応じない一方的な価格決定」が
禁止され、価格交渉を行いやすい環境が整っています。
時代が変わった今こそ、受託側は「強い会社が当たり前に
やっていた交渉姿勢」を取り戻す必要があります。
<国が後押しする「3月・9月」を狙い撃つ>
政府は2021年から、毎年3月と9月を
「価格交渉促進月間」と定めています。
この期間は、発注企業に対して価格協議を
促す取り組みが行われ、月間終了後には
フォローアップ調査が実施されます。
また、状況が芳しくない発注者に対しては、
指導・助言が行われます。
つまり、交渉を後押ししてくれる
「国が後押しする月」が年2回ある。
受託側が動くなら、このタイミングを逃すべきではありません。
<見積書は「一式」から卒業し、3要素に分解する>
交渉の成否を左右するのは、
見積書の「中身」です。「一式」表記では値上げの
根拠が伝わりません。
以下の3要素に分解して記載することが重要です。
・原材料費:
企業物価指数(日本銀行「企業物価指数」)など、
・エネルギーコスト:
電気・ガス・燃料の上昇分(資源エネルギー庁「電力・
・労務費:
最低賃金上昇率、賃金指数、春闘妥結額など公的データで説明
自社の給与額を開示する必要はありません。
公的データを使えば十分です。
ちなみに 毎年8月に最賃の見直し(目安)が発表されますが、
2026年度(令和8年度)の最低賃金の全国加重平均は
1,176円となり、前年度1,121円から55円(4.9%)
(参考)東京:1,226円→1,280円 大阪:1,177円→1,231円
<受託側が今やるべきこと>
(1)3月・9月に向けて見積書を作り直す
(2)「一式」をやめ、原材料・エネルギー・労務費を分解する
(3)公的データを根拠にする(最低賃金・賃金指数・物価指数)
(4)労務費算定モデルで値上げ額を論理的に示す
(5)必要なら「中小企業支援窓口」「取引かけこみ寺」
<最後に> 強い会社は、強い交渉をする
調達側の経験から言えることは、「強い会社ほど、
根拠を示して交渉する」ということです。
取適法は、中小企業が正当な利益を
確保するための追い風です。
次の価格交渉促進月間に向けて、
まずは見積書の見直しから始めてください。
自社の技術と実績に自信を持ち、
堂々と交渉のテーブルに座りましょう。
「自社の場合、どこまで値上げできるのか分からない」
「見積書をどう組み直せばいいか分からない」という方は、
ぜひ、さんよし会でもご相談ください。
SKMとしても、皆さまの適正な取引を全力で応援します。
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