マキャヴェリのリーダーシップ論から現代の経営を考えてみる

かつて、私は一人で毎日メルマガを書いていました。
最初の2000号より少し前くらいまでがそうです。

しかし、その後チーム執筆に変えました。

その方が面白いからです。
ワハハという笑いではなく、知的な面白さというか
多面的に経営や働き方、もっと言えば生き方を
考えられると思うのです。

例えば、前号の上村さんのメルマガ、
前々号に私が書いた「貞観政要」の話を受けて、
マキャヴェリが出てきました。

私はそこまで触れる頭はなかったのですが、
上村さんから出てきました。

そこで、また私も触発されるわけです。

当社は理念やあり方は共有していますが、
一人一人が自立したプロです。
各回のメルマガ設計や調整はしていませんが、
自然と話がチェーンのようにつながったり
広がったり、深まったりしています。

こういったことが、
個人でなくチームの力の一つだと思います。


上村さんのメルマガから触発されて、
私が伝えたいと思ったことは、以下のようなことです。


~~ 上村さんの前号メルマガより引用 ~~

西洋のリーダーシップ論として
ニコロ・マキャヴェリという政治思想家の
君主論(マキャヴェリズム)というのがあります。


国王等のトップオブザトップの哲学ですが、

例えばつぎのような考えがあります。

 

・悪人になる覚悟を持て、非難されてもひるむな。

・愛されるよりも怖れられる方がいい。ただし憎まれないようにせよ。

・身近に使える者をひどく傷つけるな

・中立の道を選ぶな。叩くときは、徹底的に叩きのめせ。

~~ ここまで ~~


東洋哲学や聖徳太子とは全く違うねという話でした。


さて、ここで考えたいのは、
現代における経営やリーダーシップで、
上記マキャヴェリの考えは「悪」なのでしょうか?

ということです。



私の好みではありません。(敢えて好みという表現にしています)


ですが、そこに一理ないのか?
と考えることが大切ですし、全否定でもありません。


たとえば、皆様が社長だとして、
以下の問いを投げかけられたら、どうでしょうか?

『社長の最大の仕事は何か?』


  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


社会に価値提供することでしょうか?
(これはビッグワードすぎて、ほぼ何も言っていませんね)



お客さまに喜んでもらうことでしょうか?



利益を上げることでしょうか?



働くメンバーに笑顔で働いてもらうことでしょうか?



全部正解だと思います。
または、あなたが決めた「最大の仕事」が正解です。



ですが、こんな考え方も出来ないでしょうか?



  ・

  ・

  ・

  ・

  ・


『会社を潰さないこと』



「会社を潰さないこと」イコール

利益を上げなくていいとか、

働くメンバーに笑顔になってもらう必要はないとか、

そんな話では勿論ありません。



最大の仕事は潰さないこと。

なぜなら、会社という船が転覆したら、
価値提供もできないし、
お客さまも笑顔にできないし、
働くメンバーに笑顔で働いてもらうことも
できないからです。


※今の話は、M&Aとかそういう話ではないので、
 枝葉に囚われないでくださいね。



そう考えた時に、マキャヴェリズムの見え方が
少し変わってきませんか?


マキャヴェッリは『君主論』の中で、
君主が理想的な善人であることは称賛すべきだが、
現実の人間社会では理想に従いすぎると
没落する危険があると言ったのです。

「冷酷」「非人道的」と感じる人もいると
思いますが、現実主義的な側面はあると思います。



他の歴史を紐解くと、

前号にマキャヴェリズムの例としてあった

「中立の道を選ぶな。叩くときは、徹底的に叩きのめせ。」


の日本での実例として

徳川家康が仕掛けた「大阪冬の陣」、「夏の陣」

が挙げられるかと思います。



歴史に「たられば」はありませんが、
徳川家康のマキャヴェリズムのおかげで、
太平の江戸時代、戦争のない希有な長い時代
が生まれたとも言えます。



何事も、目先のこと、表面上のことだけでは、
分かりませんね。