「属人化して休めない職場」はどうすれば変わる?

チームSKM 佐々木千博です。


「従業員にイキイキと働いてほしいけれど、生産性も高めなければならない」

「働きがいのある職場をつくりたいが、どうしても個人の根性に頼る構造から抜け出せない」


現場を預かる経営者やリーダーの皆さまから、
こうした切実なお悩みを伺うことがあります。

特に、属人的で専門性の高い業務ほど、「休めない」
「他の人には引き継げない」という構造的なジレンマに陥りがちですよね。

今日は、そんな皆さまのヒントになるであろう、ある「過酷な職場」
での鮮やかな構造改革の事例をご紹介したいと思います。
(実はニュースを見ていた妻から教えてもらいました。Thanks)


その職場とは、長時間の過重労働が常識とされてきた「大学病院の外科」です。


■「体力勝負・長時間労働」からの脱却

外科医と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。

「手術室に何時間も立ち続ける体力勝負」
「休みなく働く過酷な世界」……

そんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
私も、ゴッドハンドと言われるようなスーパースター
もいる超専門職、そして手術時間が10時間も超えることもある、
そして命が掛かっている、超ハードな職場、そんなイメージです。


実際、長時間の集中と高度な技術が求められる外科は、
若手や女性から敬遠されがちで、人材不足が
全国的に深刻な課題となっているそうです。


しかし、富山大学附属病院の消化器・腫瘍・総合外科(第二外科)は、
この常識を根底から覆しましたんだそうです。

驚くべきことに、現在同科には全国から入局者が殺到し、
若手医師の半数以上を女性が占めるまでになっているのです。

どうしたのか?

彼らが行ったのは、気合や根性での乗り切りではありません。
業務の「構造的な問題」を根本から解決したのです。



■「執刀医交代制」というパラダイムシフト

同科が導入した画期的な仕組みのひとつが
「長時間手術での執刀医交代制」です。

従来、手術は「一人の執刀医が最初から最後までやり遂げるもの」
というのが医療界の当たり前でした。

しかし同科では、あらかじめシフトを組み、手術の途中で
別の医師にメスを引き継ぐ仕組みを取り入れたのです。


これにより、医師の長時間の疲労が劇的に軽減されるだけでなく、
若手医師により多くの執刀機会(成長のチャンス)を提供できるようになりました。

「途中で交代して、患者さんの安全性は大丈夫なのか?」
と心配されるかもしれません。


しかし、結果は逆でした。

なんと、交代制を導入した手術の方が、
一人の医師が執刀し続けた手術よりも、
主要な合併症の発生率が低かったというのです。

疲労困憊で手術を続けるよりも、集中力の高い医師が
リレー形式で引き継いだ方が、
結果的に「医療の質=お客さま(患者さん)への価値」
が高まることがデータによって証明されました。


詳しくは、同科の「持続可能な外科医療」の取り組みをご覧ください。

(引用: https://toyama-surgery2.com/sustainable-surgical )

 

■「育休取得は命令です」が生む心理的安全性

構造改革は、働く環境のカルチャーも変えていきます。

同科の藤井教授は、子どもが生まれる男性医師に
「育休取得は命令です。期間も家族と相談して自由に決めなさい」
と声をかけているそうです。


「男性の外科医が育休なんて取れるわけがない」
と思い込んでいた医師たちにとって、リーダーからの
この言葉はどれほどの安心感をもたらしたでしょうか。

さらに、復帰後もそれぞれのライフステージに合わせた
オーダーメイドの働き方が、チーム全体で手厚くサポートされているそうです。

実際に育児休暇を取得した医師たちや、多様な働き方を実現している
先生方のリアルな声は、こちらのページからお読みいただけます。

(引用: https://toyama-surgery2.com/student/voice?type=childcare )



■「三方未来よし」は構造改革とDXから生まれる

この富山大学第二外科の事例は、私たち企業の組織づくりに
おいても極めて重要な視点を教えてくれます。

  1. お客さまよし(患者さんの安全向上、合併症の低下)
  2. 従業員よし(過重労働からの解放、育休の取得、成長機会の増加)
  3. 会社よし(入局者の急増、チーム医療の実現)
  4. 未来よし(持続可能な外科医療体制の確立)

まさに、私たちが目指す「三方未来よし経営®」を見事に体現しています。


皆さまの職場にも、「この仕事はこの人でなければダメだ」
「最後まで一人の担当者が責任を持ってやり遂げるべきだ」
という、長年の「暗黙の常識」はありませんか?


専門性が高く、一見すると分業や交代が不可能に思える
「外科手術」ですら、引き継ぎのルールとチームの
信頼関係があれば、シフト制で質を高めることができました。

私たちが推進するDXの本質もここにあります。
単に便利なITツールを導入するだけでなく、
暗黙知となっている業務プロセスを可視化・データ化し、
誰もが引き継ぎやサポートをし合える「構造」を創り出すことなのです。

そして、あわせて組織文化も変えていくこと、
個人の頑張りだけに依存するのではなく、チームで成果を出せる仕組みをつくること。

それこそがDXです。


それこそが、従業員が働きがいを感じながら生産性を高めるための第一歩です。


今週はぜひ、自社の職場の「当たり前」を疑い、
「この業務、途中で交代できないか?」
「情報共有の仕組みを変えられないか?」
という視点で組織を見直してみてください。


そこに、新たなイノベーションと笑顔の種が眠っているはずです。


さんよし会(末尾参照、無料の勉強会)でも、変化成長できる組織風土を
つくりあげる組織開発・人財育成~、デジタル技術の活用まで幅広い
テーマで少しずつ一緒に学んでいくことができます。
※次回はまさにDXがテーマです!


ご都合の合うときに、ぜひご参加ください。


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イキイキ働きたいカッコイイ大人のベースキャンプさんよし会」
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