リスクは“会社の真価を映す鏡”だった──  学生と学んだ『世の中に必要とされる会社』とは

チームSKM 中川です。

今日は、しっかりやっていきます。
よろしくお願いします。


前回に引き続き、大学の非常勤講師として学生さんと一緒懸命に考え、
そこから導き出されたヒントを元に私たちのあり方を考えていきます。

2社目はリスク対応を軸に考える“世の中に必要とされる会社”。
私は今回、強く確信したことがあります。


 「リスクは、会社の真価を映す鏡である──。」


これは企業の“危機対応”を扱った2社目の講義、
事例として紹介した東伸産業さん(物流企業)
を題材に、学生たちと深く学んだテーマです。



■1日目:「世の中に必要とされる会社」とは何か?

今回ワークシートには、
“世の中に必要とされる会社とは?”
という大問題を、学生自身が定義する項目を設定しました。


学生たちが最初に挙げたのは、大企業やブランド力のある企業。
しかし、講義が進むにつれて、彼らの視点はどんどん変化していきました。

その変化のきっかけが、東伸産業さんの“リスクとの向き合い方”でした。

■高潮で車両が水没──そこからの復旧が会社を変えた

東伸産業さんは、これまでに阪神淡路大震災から台風21号の高潮まで、
数々の災害を経験し、その度に事業継続と地域物流を守り抜いてきました。

トラックが水に浸かり、業務が止まり、物流が途絶え、地域にも影響が出る──
運送業にとって“事業停止”は、社会インフラ停止に直結します。


しかし、この出来事を“ただの災害”で終わらせなかった所に違いがあります。


被害状況を分析し今後に必要なことは何かを考え、行動を開始。

その一例として、
南海トラフ巨大地震で想定される津波に耐えうるように
トラックを避難させるための新しい立体駐車場を建設。
そして、事業継続力強化計画(ジギョケイ)への取り組みを開始


この“復旧から改善への一連のプロセス”を、動画資料を通じて学生にも追体験してもらいました。

学生たちは、このストーリーに強く心を動かされていました。
ここまでやるのかという感想を持っていました。
これこそ、リスクが企業の真価を映し出すと感じた瞬間でした。


■学生が気づいた“必要とされる会社”の条件

講義の中で、学生たちに次の問いを考えてもらいました。
「どんな会社がリスクに強いのか?その裏側にどんな価値観があるのか?」


最初は「大企業の方が安全では?」という声が多かったものの、
東伸産業さんの実例を知った後は、こんな言葉が出てきました。


「地域のために動く会社は、必要とされる会社だ」

「災害時に止まらない企業が社会を支えている」

「運送業は“日常の安心”をつくっている仕事だ」

 

学生たちは、社会インフラ企業としての“使命”に触れ、
企業の価値を“売上規模”ではなく“社会性”で捉え始めたのです。


■2日目:“私が考える、必要とされる会社”を語る学生たち

 

2日目は、長坂養蜂場版と同じ構造でワークを行いました。

学生自身が選んだ企業について、
「その会社はなぜ『世の中に必要とされる会社』なのか?」
を、社長になりきって発表する形式です。


興味深かったのは、発表内容がリスク視点に寄っていくこと。

「この会社は災害時に地域を助けます」

「代替が効かない価値を持っています」

「社員の安全を最優先にしています」

「継続する覚悟がある会社です」

 

といった内容が自然と増えていきました。


学生たち自身が気づいてくれました。
リスクへの強さは、“世の中に必要とされる会社”を具現化することの証である。


■3日目:東伸産業さんへの“未来の提言”を作る

3日目は、学生がチームになり

東伸産業さんが今後も必要とされる企業であり続けるための提言」

を作るワークを実施しました。


これは、東伸産業さんのご担当者が投げかけた問いに対し、
学生目線から回答してもらいました。

この問いの内容も非常に本質的でした。

・物流の公共性とは?

・どう企業価値を見える化するか?

・20代に物流業界をどう魅力的に伝えるか?

・“信頼・安心”をどう文化として継承するか?


これらの問いは、そのまま経営者への問いともなりえます。
学生たちは真剣に議論し、こんな提言をまとめました。
一部の内容をお伝えすると

・企業価値の向上と「信頼・安心」の可視化に向けて
 「安心と安全」への取り組みをもっと可視化し内外に発信する

・持続可能な組織と人材の確保・育成
 理念の「共通言語化」による経営戦略の浸透と組織文化づくり

・若者へのアピールとエコ輸送の推進
 ドライバーの1日VLOGや地域活動など、動画SNSでリアルな日常を全力発信
 災害時の物資支援など「地域と連携」した活動を発信

学生たちのまとめ方の変化は目をみはるもので、
視点の深まりとともにアウトプットの質も格段に上がっていきました。


■6日間を通じて見えた“必要とされる会社”の条件

長坂養蜂場の“いい会社”とは違う軸で、
今回学生たちが導き出した“必要とされる会社”の条件は以下でした。


・社会のインフラとしての役割を果たしている会社
 止まったら困る会社。代替が効かない会社。

・リスクに対して向き合い、備え、学び続ける会社
 災害は避けられない。だが、備えは選べる。

・危機の時に、“人”を最優先にできる会社
 社員の安全確保と地域生活者の安心提供が顧客の信頼獲得

・復旧・改善・進化が“文化”として根づいている会社
 被災後の行動が、企業文化をつくる。

・若者が“誇りを持って働ける未来”を描ける会社
 使命があり、社会性があり、覚悟がある会社。

学生たちはこう結論づけました。

 「必要とされる会社は、危機の時に最も輝く」

 

■経営者・リーダーの皆さまへの問い

では最後に、今回学生たちと学んだ内容を踏まえて
私から経営者やリーダーの皆さまに問いを投げかけます。

「あなたの会社は、
 危機の時に“必要とされる会社”として見られていますか?」


この問いにYESと大きな声で言える企業だけが、
これからの不確実な時代を生き残り、選ばれ続けると私は思います。


■必要とされる会社になるための3つのアクション

学生たちと東伸産業さんから学んだ内容をもとに、
経営者が今すぐ取り組める行動を3つに整理しました。


1、 “社会にとっての役割”を言語化し、伝え直すこと
 会社の存在理由(パーパス)は、若者の心にも直撃します。


2、リスクと備えを“見える化”すること
 BCPは書類ではなく、ブランド。
 備えている会社は、若者からも選ばれます。


3、 危機のときこそ“人”を守る文化をつくること
 社員の安全を守れる会社は、必ず強い。

 

■最後に──

今回の講義を通して、私はこう確信しました。

「必要とされる会社とは、
 危機のときに“一番頼られる会社”である。」


そしてその裏側には必ず、
覚悟・文化・誠実さ・継続力という、
人間的な経営が存在しています。


私たちチームもこれからも中小企業の現場と向き合いながら、
“選ばれ、必要とされ、愛される会社”づくりを
微力ながら全力で支援していきたいと思います。

そういった企業を目指される皆さん、
ぜひ、チームSKMにお問い合わせください。


「一緒懸命」伴走いたします。



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