近年よく耳にする心理的安全性の誤解
チームSKM 経営コンサルタントの上村です。
先日、中小企業の社長とお話する中で
従業員の意見をしっかりと聞いているが
我儘を言ってきたり、中々真意が伝わらないと
悩んでおられました。
心理的安全性という言葉が
だいぶ世間でも浸透してきたと感じますが
その真の意味について勘違いをされている方もちらほらおられます
『心理的安全性って優しくすることでしょ?
パワハラとかに気をつけて優しい言葉ばかりかけたり
気を遣ったりして部下が調子に乗るだけじゃないか』
とか
『ぬるま湯な組織になってしまうから
心理的安全性とかそういう組織はダメ。
やはり結果を求めるには厳しくいかないと』
こういった声をよく聞きます。
これは心理的安全性を
正しく理解されていない声ですね。
分かりやすい喩えで言いますと
プロのスポーツチームを思い浮かべてください。
最近のサッカー日本代表、陸上のリレー代表
卓球やテニス、バトミントンのペア、カーリング日本代表。
結果を残しながらも雰囲気も良くないですか?
心理的安全性とは組織のメンバーが
誰に対しても自分の意見や質問を安心して発言でき、
対人関係におけるリスク(拒絶、非難、罰など)を
負う心配がないと信じている状態と定義されています。
厳しく接するだけだと逆にメンバーは安心して発言できず、
隠蔽体質になり不正やトラブルの温床が出来上がってしまいます。
そしてこの言葉の通り
『自分の意見や質問が言える』
『言っても対人関係が悪くならない』
そういう関係性を指します。
つまり仲良しクラブではなく
言いたいことを言い合えて後腐れがないということ
またその言いたいこともそれぞれの我儘という視点ではなく
組織や個人の成長など本質的な話ができるということです。
心理的安全性の高い組織にするには
いくつかの方法がありますが
今回は2点お伝えします。
1つ目は目的の共有です。
プロのスポーツチームや五輪選手が
なぜあのように喧々諤々と意見を言い合えるのか?
それは勝ちたいという共通の目的があるからです。
そのためには相手に対して必要な要求や期待、
その時に相手に嫌な思いをされるかも…といった事よりも
相手もその目的のために言っていると
理解してくれるという信頼があるからですよね。
2つ目は接触の量と質です。
議論のような意見をぶつけ合う前に必要なコミュニケーションは対
対話とは正解を決めるためのコミュニケーションではなく
『なるほど、あなたはそういう考えを持っているのか』と
共有して尊重するコミュニケーションです。
そこに正解はありません。というよりも全てが正解です。
相手の背景や価値観を理解する。
そうすると関係性も出来上がり
だからこそ議論も上手くできるようになります。
そして対話のような深い話をするのが最初は難しいというのであれ
その前に必要なコミュニケーションは雑談、会話です。
つまり日常の些細な話をすることでコミュニケーションの量を増や
そうすることで対話や議論といった
質の高いコミュニケーションも上手く進めることができます。
目の前の仕事が忙しくてコミュニケーションがとれない。
こんな御伽話の喩えがあります。
旅をしていると木こりがボロボロのノコギリで大木を切ろうとして
『ノコギリを研いだ方が早くキレますよ』
すると木こりはこう言ったそうです。
『そんか時間なんてあるもんか』
急がば回れです。
長期的な成果のためには密なコミュニケーションが大事になってき
今一度社内でコミュニケーションの量と質が疎になっていないか
見つめ直してみてはいかがでしょうか?
冒頭でご紹介した社長ですが
ご自身の信念を曲げずに引き続き従業員の方々の事を思って
環境を整えつつ想いを伝えていこうと思うと仰っていました。
急がば回れ。
自身の信念を信じて、従業員を信じ続けておられると
長期的に良くなっていくと確信しております。
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