ALACTモデルで振り返る
チームSKM 上村拓也です。
21日にさんよし会で登壇させていただき、
理念の浸透には対話の量と質が大切
というお話をさせていただきました。
その中で対話にも自己対話と他者対話があり、
自己対話にも様々な目的と効果がある
というお話をさせていただきました。
自己対話の種類として「振り返り」という方法があります。
研修で学びがあった時、
仕事で成功や失敗体験があった時、
それに対して振り返ることがあると思います。
例えば
「どうして失敗したのか?」
「今日の学びで実践に活かせることは何か?」
といった学びです。
ただこの「振り返り」
奥が深くて、中々効果的にするのは難しい。
ですので、より効果的にするために
ALACTモデルというものを紹介させていただきます。
これは5つのステップから成り立ち、
各ステップを繰り返すことで、
継続的な学びと改善を促すモデルなのですが、
ALACTは以下の5つのステップの頭文字を取ったものです。
1.Action(行動)
最初のステップは実際に行動をすることです。
行動をしなければ振り返りもできません。
ただこの行動は実際に身体を動かさない思考という行動も含みます
2.Looking back on the action(行動を振り返る)
行動が終わった後、その結果やプロセスを振り返ります。
自分視点、他者が関わる場合であれば相手視点でも振り返ります。
その際の視点として、「行動」「思考」「感情」「欲求」
この4つの視点で振り返ります。
具体的には次のような質問です。
・私(相手)は何をしたのか?(行動)
・私(相手)は何を考えたのか?(思考)
・私(相手)はどう感じたのか?(感情)
・私は(相手)何をしたかったのか?(欲求)
3.Awareness of essential aspects(重要な側面への気づき)
先ほどのステップの振り返りの中で、
特に重要なポイントや成功要因、課題に気づくことができ、
その上で、「何が効果的だったか」「どこに改善の余地があるか」
といった本質的な部分に焦点を当てます。
4.Creating alternative methods of action(代替行動の考案)
次に、振り返りを基にして、
今後どのように行動すれば
さらに良い結果が得られるかを考えます。
このステップでは、新しい行動方法やアプローチを考え出します。
5.Trial(実践)
最後に、新しく考えた代替行動を実際に試してみます。
このステップを経て、再び最初の行動に戻り、
プロセスを繰り返すことで、継続的な改善が可能になります。
では具体的なケーススタディで考えてみます。
1.Action(行動)
「とある研修を受けた」
2.Looking back on the action(行動を振り返る)
Q.私は何をしたのか?
人に勧められて、新しい研修を受けた。
特に積極的に参加するというよりは、
受け身の姿勢で受けた。
研修中は資料に目を通し、
講師の話を聞いたが、
深く考えたり質問したりすることはなかった。
Q.私は何を考えたのか?
始めから大きな期待はしていなかった。
また、研修の内容が自分に合っているか
どうかという視点で考えて受けていた。
Q.私はどう感じたのか?
研修を受けている最中、
あまり心が動かされることはなく、
退屈だと感じることが多かった。
自分が求めていた答えやヒントが
得られないまま時間が過ぎていくような感覚だった。
内心、もっと違うアプローチの方が
自分には合っていたのではないかと思い、
少しフラストレーションを感じた。
Q.私は何をしたかったのか?
本来は、自分を変えるための
新しい視点やヒントが欲しかった。
研修に参加した理由は、
自己成長のための具体的なアドバイスや、
今の自分の問題を解決するきっかけを
得たいという思いからだった。
もっと実践的で、自分のニーズに応じた内容を望んでいた。
3.Awareness of essential aspects(重要な側面への気づき)
上記の振り返りから例えば次のような気付きを得ました。
・動機と期待の不一致
自分自身のニーズや期待を
明確にしないまま研修に参加したため、
結果的に得られるものが少なかった。
受動的な姿勢が、学びに対する
モチベーションの低下を招いた可能性がある。
・研修の内容のフィット感
研修の内容が自分の課題や目標に
直接結びつかないと感じた。
もっと具体的な実践的内容が必要だったかもしれない。
・感情のフラストレーション
研修中に感じた退屈やフラストレーションは、
自分が本当に求めていたものを
明確にしていなかったことから生じた。
これが、研修から得られた満足感の低さに影響している。
4.Creating alternative methods of action(代替行動の考案)
次回、研修やトレーニングに参加する際の代替行動として、
以下のようなアプローチが考えられます:
・研修を選ぶ前に自分の目的を明確化する
・積極的な姿勢で参加する
・事後の学びを実生活に応用する計画を立てる
5.Trial(実践)
これらの代替行動を実際に試してみるステップとして
次のようなことが考えられます。
次に研修やトレーニングを選ぶときには、
まず自分が学びたいことや得たい結果を紙に書き出し、
その研修がそれに合致しているか確認してから参加を決定する。
参加する際には、より積極的に質問をしたり、
メモを取ったり、事後に自分なりの反省を行い、
次のアクションにつなげる意識を持つ。
研修後のフォローアップとして、
学んだことを具体的な日常の行動に結びつける。
例えば、新しく得た知識を活用した行動を
職場や日常生活の中で試し、効果を測定してみる。
このような形で振り返ることによって、
過去の出来事も効果的に未来に活かすことができますし、
自分の心の動きの傾向を把握することもできます。
ぜひともご活用ください。