「ヘルプシーキング」知ってますか?

VUCAの時代と呼ばれる今、私たちの働く環境は、
変化のスピードも変化量も大きく、
先が読みにくい状況です。

このような環境は、多くの人が心身を消耗しやすく、
実際にメンタルヘルスの問題が増えているのは
決して偶然ではないと思います。


メンタルの不調は本人にとって苦しいだけでなく、
チーム全体の雰囲気や生産性にも直結する大きなテーマです。

だからこそ、私たちが「ウェルビーイングな職場」
をつくるうえで欠かせないのが、メンタルヘルス対策です。


そのカギを握る考え方のひとつが「ヘルプシーキング」です。
知ってますか?


■ヘルプシーキングとは何か

「ヘルプシーキング」とは文字通り「助けを探し求めること」。

心理学や公衆衛生の分野で生まれた概念で、
困難や課題に直面したとき、周囲に援助や協力を求める
積極的な行動やスキルを指します。

つまり「自分だけで抱え込まず、必要に応じて人に頼る」ことを、
個人の弱さではなく「能力」だと再評価する考え方です。



■「大丈夫」と思われてしまう危うさ


ここで少し個人的な体験を紹介します。

私が新卒で配属されて間もないころ、
仕事は見て覚えるように言われました。

そして超ブラック案件にたまたまアサインされ、
心身共にボロボロになりました。

でも「ここで休んだら負け犬になる」という想いに
突き動かされ、毎日悪夢で目が覚めても、嘔吐しても、
休んだりはしなかったので、いつしか「あいつは大丈夫」
と思われるようになっていきました。

半年以上溺れながらもやりきったこの経験、
結果的には、私の大きな成長と信頼獲得になり、
キャリアにとってギフトになりましたが、
もしかしたら、心身を完全に壊してダメに
なっていたかもしれない。

だから、自分の経験だけで、若いメンバーに同じことを
期待したらダメだよね~


と、そんな話をMBA仲間に話したところ、
「私もあった~」「ほんと、それ!」とか、
「自身、管理職として、出来るやつほど、勝手に
大丈夫と思い込んでいる危険さを感じた」など
結構な反響があったのです。


優秀で真面目で我慢強い人ほど、本人にも組織にも
「ヘルプシーキング」を意識することが大切なのかもしれません。


このエピソードは、多くの組織で起こっている
現実を映し出しています。

真面目で優秀な人ほど「助けて」と言えず、
結果的に「大丈夫」と見なされてしまう。
そして、心身をすり減らしてしまう。

まさにここに、ヘルプシーキングの重要性があります。



■ヘルプシーキングの4つのプロセス

 

ヘルプシーキング実践には4ステップあるそうです。

(1)問題を認識する
 自分が課題や困難を抱えていると気づくことから始まります。
 この自覚がなければ問題は長期化してしまいます。

(2)告白する勇気を持つ
 「うまくいっていない」と打ち明ける勇気がいります。
 評価を下げられるのではという恐れを超える必要があります。

(3)サポートを求める
 タイミングや相手を選び、実際に「助けてほしい」と行動。
 上司や同僚、専門家など、適切なリソースを活用します。

(4)サポートを受け入れる
 せっかく差し伸べられた支援を遠慮せずに活用する姿勢が、
 問題解決と成長につながります。



■ヘルプシーキングが根づく職場づくり

個人がヘルプシーキングを実行できることも大切ですが、
それと同様に「助けを求めやすい環境」があるかどうかが重要です。

(1)心理的安全性の確保
 困ったときに「助けてほしい」と安心して言える文化をつくること。
 失敗やつまずきを共有しても責められない職場は、挑戦意欲を育みます。

(2)情報のオープン化
 業務の進捗や予定を共有できる仕組みを整えることで、
 困りごとを早期にキャッチできます。

(3)相談や支援の仕組み化
 定期的に「相談する時間」を設ける、相談窓口やサポート制度
 を設置するなど、組織としての仕掛けが効果を発揮します。

(4)挑戦と失敗を許容する風土
 新しいことに挑戦したときに失敗を責めず、
 むしろ成長の糧として歓迎する。
 その姿勢が「支え合う文化」を広げます。



VUCAの時代において、メンバー一人ひとりの
心身の健康を守ることは、組織の未来を守ることと同義。

「助けを求めることは恥ずかしいことではない。むしろ力である」

この考えを私たち自身が持ち、チームに広げていくことが、
幸せで生産性の高い職場づくりへの第一歩となるのではないでしょうか?


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