欧州サッカーの開幕戦で感じた組織の姿勢
チームSKM 経営コンサルタントの上村です。
私はサッカーが好なのですが、
今年の欧州サッカーシーズンが始まりました。
イングランド、スペインのリーグが先週から開幕しています。
私は20年以上スペインのバルセロナのファンなのですが
先日の土曜日の深夜に開幕戦を視聴しました。
バルセロナは昨シーズンのチャンピオンで
対戦相手は浅野拓磨が所属している昨シーズン10位のマジョルカ
マジョルカのホームスタジアムで
昨シーズンのチャンピオンを迎え討つという構図でした。
会場には地元のファンが集まって熱気に溢れていました。
しかし、試合はさすが昨シーズンのチャンピオン。
前半7分に早くも先制。
そして事件は前半23分に起こりました。
バルセロナのヤマル選手が打ったシュートが
マジョルカで選手の頭に当たり、その場で倒れ込みます。
その後もプレイは続行しましたが、
マジョルカの選手は1人倒れているので止めるべきだと
内心思いながら、少し足が止まってしまっていました。
しかし審判は特に笛を吹いていない状態だったので
バルセロナのトーレス選手がシュートを打ってゴール。
このゴールが認められたのです。
マジョルカの選手は抗議をしますが
審判は笛を吹いていません。
勝手にプレイをセルフジャッジで止めてしまったので
気の毒ですが自業自得なところがあります。
しかも不運は重なり、その後前半33分に
危険なタックルで2枚目のイエローカードで1人退場、
そして38分には足が相手の頭に入って1発レッドで退場と
なんと前半だけで9人になってしまったのです。
昨シーズンのチャンピオン相手に
残り50分以上を2人少ない状態で戦うとは
無茶苦茶なミッションですよね。
観客もテンションが下がって
映像で泣きじゃくるマジョルカファンの子どもの姿も…
しかし、
【観客たちの変化】
まずはマジョルカファンの変化です。
これは決して良いことではありませんが
少し理不尽なゴールを決められたこと
それから2人も退場者を出させたこと
こういったジャッジをした審判と相手の選手に対する
怒りからブーイングが激しく起こりました。
観客は諦めから激しい熱量を持つようになったのです。
【マジョルカの選手たちの変化】
そしてマジョルカの選手たちも。
折角来てくれた観客に対して
そして開幕戦という状況に対して
不甲斐ない試合は出来ないという思いが出たのか
そして相手選手や審判に対する怒りを
プレーで昇華しようとしたのか
気合の入ったプレーをして
そこから後半の最後に1点は決められましたが
そこまで9人で無失点で乗り切っていました。
【バルセロナの選手たちの変化】
一方のバルセロナの選手はどうだったのか。
ルールのもとにプレーしているし
審判のジャッジのもとでプレーしているので
何の問題もないのでしょうが
少し相手には気の毒だと思ったのか
プレーには繊細さが欠け始めたり、
もしかしたら少し気を遣っていたのか?
というように見えました。
また勝利確実だから怪我のリスクを避けたり
体力を温存しようとしたのかとも思えるような
ギアを落としたようなプレーに見えました。
試合後、バルセロナのハンジ・フリック監督
はこう言っていたそうです。
「試合が気に入らなかった。
私のチームは50%の力でプレーしており
これは許されない。
選手たちと話す必要がある。」
~ここから何を学ぶのか~
バルセロナの視点とマジョルカの視点
二つの視点で日常や仕事に当てはめて考えてみました。
まずバルセロナのハンジ・フリックの言葉が表していること
彼も監督という立場ですので組織の長です。
組織の長としてこの姿勢は重要ですね。
フリック監督は「勝った」ことを評価せず
「50%の力でプレーした」ことを問題視しました。
1試合だけを見ると楽に勝てて良かったかもしれません。
しかしこういった強度の緩い試合をしてしまうと
その姿勢が次の試合やシーズン全体のプレーの質に
影響してしまうことを心配しているのだと思います。
一度「このくらいでいいか」と緩んでしまうと
それが前例となり、
これはビジネスの現場でも同じではないでしょうか?
慣れは怖いものです。
一度ぬるま湯を経験してしまうと
気付かぬうちにそれが当たり前になってしまう。
基準は自分たちで下げることも引き上げることもできるのです。
経営者やリーダーにとっては
成果が出ているときこそ「姿勢」を問い直す必要があるし
緩みが出てきたことを察知して引き締める。
「勝って兜の緒を締めよ」の姿勢が
組織を強くするのではないでしょうか。
またマジョルカ側の視点からも学びがあります。
2人退場し9人になった瞬間
本来なら会場の空気は冷え込んで
終戦ムードになってもおかしくありませんでした。
しかしそこからスタジアムは異様な空気になりました。
観客のブーイングが鳴りやまない状況。
そこでこれは私が勝手に感じたことですが
マジョルカの選手たちはその空気を味方につけたように思えました
スタジアムを包んだ異様な熱気。
それはブーイングも含めて、
観客のエネルギーを力に変えていたように思えたのです。
これはビジネスで言えば、
困難な状況でも意外なところで
何かを、誰かを巻き込むことができ
それが組織の推進力にもなりうるということです。
そしてもう1つは状況をリフレーミングする力です。
つまり状況に対する見え方を変えるということです。
「9人になって不利だから仕方ない」と考えれば
選手も観客も諦めてしまいます。
しかし彼らはその状況を「絶望」ではなく、
「意地を見せる舞台」「次につながる開幕戦」と
リフレーミングしたのかもしれません。
結果は0-3の敗戦でしたが
これが0-8等の惨敗となるかで
大きな違いになります。
「9人で最後まで耐えた」という物語は
観客と選手にとって誇れるものとなり、
もしかすると今シーズンへのエネルギーになるかもしれません。
「そして開幕戦でどうしてこんな不利な状況にさせられてんだ!」
という怒りがもしかすると今シーズンの躍進になるかもしれません
ビジネスにおいても、
「トラブルで迷惑をかけた」 → 「信頼を取り戻すチャンス」
「人数が足りない」 → 「一人ひとりが力を発揮する機会」
状況をどう切り取るかによって
組織の行動も成果も大きく変わっていくのです。
バルセロナから学べるのは「勝っても緩むな」という教訓。
マジョルカから学べるのは「逆境を誇りに変えよ」という姿勢。
事実だけみると「勝利」と「敗北」
しかし得たものは逆かもしれません。
組織にとって大切なのは姿勢。
勝っては兜の緒を締めて
逆境を力となる物語に変える組織こそが
長期的に成長し続けると感じました。
個人的にはファンのバルセロナが開幕戦勝って嬉しかったですが
私も何かすっきりしない後味の悪い試合でしたね。。
次の試合は気を引き締めてすっきりと勝ってもらいたいです!
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