記憶の定着の奥義! ラーニングピラミッド

新年度のこの季節になると、
私が教育担当をしていた頃、
新入社員の導入教育を思い出します。

当時、私は新入社員に対して「今日会社で学んだことは、
ぜひ帰宅後に家族の方にお話ししてください」と
伝えていました。

これは、30年以上前の話なので
後付けの解釈になるかもしれませんが、
私自身の意図としては大きく3つ以下のような思いがありました。


(1)家族とのつながり強化

新入社員が学んだことを家族(親御さん等)に話すことで、
家族が会社のことを理解し、安心感を持ってもらえるようになります。
また、仕事における出来事・学びを共有することは、新たな生活環境に
適応する新入社員にとっては精神面ですごく大事なことと言えます


(2)コミュニケーション能力の向上

導入教育で学んだ内容や感想を第三者に話すことで、
わかりやすく人に伝える説明力の練習になります。
このスキルは、仕事においても必要なスキルです。
このような機会を多く設けるということは重要と言えます。


(3)学習内容の記憶定着 

話す・説明する行為を通じて、
学んだ知識を深く記憶に定着させるため。
アウトプットを伴う学びは、単なるインプットよりも理解度、
記憶の定着度が高まります。


今回は、この記憶の定着について深堀りしたいと思います。
ここで登場するのがラーニングピラミッドです。
皆さん「ラーニングピラミッド」をお聞きになったことは
ありますか?

ラーニングピラミッドとは、1960年頃に
アメリカ国立訓練研究所の研究で提案された概念です。

日本では、別名「学習ピラミッド」と言われています。
学習の方法で学習定着率が異なるという概念です。
(下記の%は記憶の定着率を表しています)

講義を聞くだけ:5%

読書をする:10%

DVD等の視覚 20%

実演 30%

グループ討議をする:50%

体験・練習をする:75%

人に教える:90%

出典:アメリカ国立訓練研究所 national training laboratories 資料

このラーニングピラミッドが示すのは、
能動的な学びが記憶の定着を飛躍的に高めるという点です。

私の場合、10年前に資格取得のためにWeb通信学校に
通っていた頃、ある先生が「今日習ったことを何も見ずに
A4用紙1枚にまとめてみなさい」といつも授業終了時に
言われていました。

この方法も、まさに記憶を定着させる
実践的な取り組みだったのです。

 

また、

ISO9000(国際標準規格)の受講記録(力量評価)の概念も
学習後の効果の確認があります。

単純に受講記録を残すのでなく、その受講受けた後の効果を
管理者が確認しなければならないのです。

加えてお話させて頂くと
「さんよし会」の勉強会後の「振り返りシート」も
まさに知識の定着・その応用という側面から実施されています。

ただのインプットだけの受動的な講義だけでは、
理解度、定着率も高くなりません。

勉強会を受講したことにより、どのようなアウトプットを
出していくが大事なのです。

経営者・管理者の皆さんは部下が教育を受けた後の知識の定着を
どのように図るか工夫が必要です。

このラーニングピラミッドの考え方は人材育成に大いに
活用できるものです。

社員がより深く学び、記憶を定着するには、
社員プログラムに討議や実践の場、社員が学んできたことを
他者に教える・伝える場を積極的に導入してみてください。