「完璧主義」を成長エンジンに!

前回のメールマガジンでは、
部下の方々が持つ「完璧主義」という傾向について、
その背景にある想いや「プログラム」を
理解しようという内容をお伝えしました。


今回は、さらに一歩進め、部下の「完璧主義」
を単なる「こだわり」として捉えるのではなく、
成長を促すための「強み」として活かして、
チーム全体の力に変えていく具体的な関わり方
を考えてみたいと思います。


「完璧主義」と聞くと、どこか堅苦しく、融通が
利かないイメージを持たれるかもしれません。

正直、私もそんなイメージがあります。

私は大局観とスピード重視で、走りながら
形にしていくタイプなので、私のプログラムが
より一層そう感じさせるのでしょう。
あなたは如何ですか?


しかし、物事の本質を見極めようとする探究心、
質の高い仕事へのこだわり、そして最後まで
やり遂げる責任感といった側面は、
その人の持つ素晴らしい「強み」とも言えます。


ただ過ぎたるは及ばざるが如し。

その「完璧」を求める度合いが強すぎると、
時に本人を追い詰めたり、周囲と軋轢を生んで
しまったりすることもあります。

例えば、木を見て森を見ず。
細部にこだわりすぎるあまり本質を見失ってしまったり、
失敗を恐れて挑戦の時機を逸したり、
スピードが求められる場面で要件を満たせなかったり。
また、人に同レベルを求めてしまったり。


「完璧主義」が持つポジティブなエネルギーを、
本人の成長やチーム成果という良い方向に
如何に持っていくかだと思います。


ということで、部下の「完璧主義」を強みに
変える具体的な関わり方を考えてみましょう。


■強みを活かす目標設定

部下の「完璧にやり遂げたい」という想いを
発揮できるような、目標設定を一緒に考えましょう。
その際、達成基準を明確にするのは当然ですが、
「どこからは『やりすぎ』なのか」といった境界線も
設定するといいですね。そこを共有しておけば、
あなたも安心して任せられるのではないでしょうか?


■失敗を恐れず挑戦できる環境づくり

「完璧でなければならない」系の方は、
その裏側に「失敗や批判への強い恐怖」を
もっていることが多いように思います。

これは新しい挑戦や変革への足かせとなります。
「失敗は成長の糧」「諦めない限り、失敗はない。挑戦中」
といったメッセージを伝え続けたいですね。

即効性はありません。が、伝え続けるとじんわりと
入っていくはずです。


■過度な完璧主義を防ぐフィードバック

メンバーが過度な完璧主義に陥りそうに感じたら、
適切なタイミングで声をかけてあげましょう。

「何か困っていることはない?」
「一人で頑張ってくれてお疲れ様。ここからは皆で協力してやらない?」
「きっちり見てくれてありがとう。次のも見て貰っていい?」

プロセスや努力を具体的に褒めることで、
部下の視野を広げ、恐怖からの解放の手助けにもなります。



チーム全体で「健全な成果主義」を育むために
リーダーができることを整理します。


●多様な価値観を認め合える風土づくり

完璧を目指す人もいれば、スピード重視の人もいます。
それぞれの得意なやり方や価値観を認め合い、
互いに補完し合えるようなチームを目指しましょう。
そして「横の比較(他社との比較)」をしないことです。


●「完了」を定義する

どこまでやれば「完了」なのか、
チーム内で共通認識を持ちましょう。
個々の「完璧」の基準に振り回されることなく、
効率的に仕事を進められるようにしましょう。


●リーダー自身が「完璧でなくても良い」と示す

リーダー自身が、時には弱さを見せたり、
失敗を認めたりする姿勢を示すことで、
メンバーも「完璧でなくても良いのだ」と感じられます。
「しくじり先生」的なレクチャーなどもいいと思います。


個の特長が輝くチームを作りたいと考えた時、
「完璧主義」は、決してネガティブではありません。

その裏にある真摯な想いを理解し、適切な関わり方を
することで、メンバー一人ひとりの才能を開花させ、
チームを次のステージへと導く強力なエンジンにできる
のではないでしょうか?

ぜひ、今日からできることから、少しやっていきましょう。


前号と今号は私に向けても書きました。
一緒に挑戦していきましょう。