とある海鮮居酒屋から学ぶマーケティングの本質

皆さん、こんにちは!
チームSKMの池原です。

先日、私にとって非常に印象深い飲食店を視察する機会がありました。
そこは沖縄の郷土料理を中心に、普段なかなかお目にかかれない
珍しい魚を出すという、伊丹空港の近くにある“海ほたる”という
お店です。

この視察は、私がやっている「珍しい魚を活用した飲食店活性化
プロジェクト」の一環でもありました。

まず驚いたのは、その人気ぶりです。
店内は決して広くはありませんでしたが、予約でほぼ満席。
人気の理由を探るべく、他の診断士仲間と食事をしながら注意深く
観察しました。


着席早々に、明るい女性が、手書きの黒板メニューを抱えて
今日のおすすめのお魚やメニューを紹介してくれます。
ここは日によって仕入れる魚が変わるので、その時々の
旬の魚をその魚に合った調理法で提供している様子。
さらにその黒板に載っている料理を頼むと
サイコロが振れて、サービスを提供してくれるといったおまけつき。

早速、お刺身の盛り合わせや、幻の魚のから揚げや
カマ焼きなどを注文。

その際に、料理の質問をすると、「この魚は~です」や
「この料理は調理に時間がかかります」などちゃんと
お客様のことを気遣う姿勢が見られ、料理を食べる前から
好印象です。

料理は言わずもがな、期待を裏切らない美味しさ。
料理の盛り付けにも、ハイビスカスの花や大きな貝が
あしらわれ、見た目にも配慮が見られます。

何よりも価格以上の満足感を得られること。
珍しい魚を食べられ、しかもお値打ちで、美味しい。
それはお酒も進み、話にも花が咲くのは当たり前です。


この店の取り組みをマーケティングのフレームワークである
「AISASの法則に当てはめて考えてみます。


A (Attention:注意) 珍しい魚と沖縄料理の融合
まず、「変わった魚を出す沖縄料理店」というユニークな
コンセプトが、通行人やSNSで目にした人々の注意を引きます。

I (Interest:関心) メニューの説明文とさいころゲーム
この店のメニュー表は、魚の特徴、料理の提供時間など
単なる料理名以上の情報を提供し、「この魚はどんな味だろう?」
「この料理、美味しそう」とお客様の興味を強く引きつけます。
またサイコロゲームも楽しさを演出してくれます。

S (Search:検索) 口コミと評判
視察時も予約で埋まっていたように、来店したお客様が「珍しい魚」
「美味しい沖縄料理」といったキーワードで、お店についてSNSや
グルメサイトで検索します。そして、その体験を他者と共有したくなる
「話題性」があります。

A (Action:行動) 予約と再来店
興味を持ったお客様が「予約する」という行動に移ります。
そして、お会計の最後に手渡されるお得なサービスのチケットは
お客様の「また行こう」という再来店行動を促す強力な
トリガーとなります。

S (Share:共有) 体験の拡散:
店舗ではインスタの登録で受けられるサービスがあり
SNSによるマーケティングに力を入れていました。
美味しさ、珍しさ、そして店員さんとの話などといった
ユニークな体験は、お客様が友人や知人に
「あの店、面白いよ!」と話したくなる、あるいはSNSで
写真や感想をシェアしたくなる強い動機になります。

これが新たな顧客の「Attention」へと繋がる好循環を
生み出していると感じました。


このお店は、日々の丁寧な営業で、お客様の心をつかみ
お客様がお店の魅力を広めてくれる「自然に集まる集客」を
見事に実現していました。その根底にあったのは、まさに
「いかに効率よく利益を上げるか」ではなく「お客様に喜びや
美味しさを提供したい」という店主の「想い」に他なりません。

「もっと席数を増やす、店を拡大する」という規模の拡大より
目の前のお客様の満足度を最大限に高めることに注力している。
そんな店主の経営姿勢が伝わってきました。

多くの店舗が開店と閉店を繰り返す飲食店業界において
とある小さな駅の徒歩10分という立地でありながら
この店が15年間以上営業を続け、今も予約が絶えない店で
あることの理由が、この視察を通じて良く分かりました。

最後に、まんまと私はこの話をブログに書き
お店の宣伝の一役を買っていることに気付きました笑

“マーケティングとは顧客の心を動かし行動を促すことで
結果として売り上げがついてくるものである”

アメリカのマーケターであるセス・ゴーディンの言葉ですが
これもお店の“想い”が私の行動にまで影響を与えた
紛れもない証拠なのだと感じています。