部下は上司を三日で見抜く

先日、岡山県のとある団体の管理職研修で、
チームSKMの上村さんがサブ講師として入ってくれました。
その時に、メンバーにフィードバックする時に
つかっていた格言です。

私は、この言葉知らなかったのですが、
示唆に富んだ格言と思ったので共有します。


タイトルの内容は格言の前半です。
全体としては、以下の内容になります。

「上司は部下を理解するのに3年かかる。
 しかし、部下は上司を三日で見抜く。」


この言葉を聞いて、「耳が痛いな…」と
感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。



■なぜ部下は上司を「三日で見抜く」のか

部下が上司を驚くほど早く理解する理由、
それは切実さにあります。

部下にとって上司は、自分の評価、キャリア、
日々の働きやすさを左右する存在。

だからこそ、上司の一挙手一投足を注意深く観察し、
「この人は信頼できるか」「一貫性があるか」
「本当に自分たちのことを考えてくれるか」
を見極めようとします。

特に、言葉と行動の一致は重要な判断材料です。

「部下の意見を聞く」と言いながら結局自分の考えを
押し通したり、「公平に評価する」と言いながら
特定の人を贔屓したりする矛盾は、短期間で見抜かれてしまいます。


部下が、本当に客観的・多面的に上司を評価し、
それを明確に言語化できているか?は別として、
少なくとも自分にとっての管理職者を、敏感に
肌感覚として見抜いてしまうということですね。



■逆に、なぜ上司は部下を「理解するのに3年かかる」のか

一方、私たち上司が部下の真の姿を理解するには
一般的に時間がかかります。

そして、部下の能力、性格、価値観、モチベーションは、
成功時、失敗時、困難な状況など様々な場面での
言動を長期的に観察して初めて見えてきます。

また、まず部下から見ると上司は一人ですが、
上司側からすると、部下はたくさんいます。
複数の部下を抱え、自身の業務も抱える中で、
一人ひとりと深く向き合う時間を確保するのは簡単ではありません

さらに、部下は上司に対して「良い部下」を
演じようとする傾向が多かれ少なかれあります。
本音や弱みを見せることを躊躇します。
この壁を越えるには、信頼関係の構築が不可欠です。



イメージを膨らますエピソードを考えてみました。
実話ではありませんが、似たような場面は容易に
想像できるのではないでしょうか?


<エピソード1>新入社員Aさん上司を「三日で見抜く」

ある製造業の営業部に配属された新入社員Aさん。
入社3日目で、直属のB課長について
「この人は真剣に話を聞く気がない。私には興味ない」と感じました。

B課長は部下の話を聞く時に、パソコンで作業しながらで、
深く理解する質問などせず通り一遍の回答をしていたのです。

Aさんは「この上司には深い相談をしても無駄」
と早々に判断し、必要最小限の報告だけをするようになってしまいました。


<エピソード2>B課長の気づきと変化「三年かかる」

一方のB課長は、「Aさんは問題なくやってくれている」
と安心していました。しかし3年後、人事部のアドバイスで
1on1ミーティングを設けたところ、Aさんが多くの不安や
改善提案を抱えていたことが判明。

「課長は忙しそうだから、相談しても迷惑かなと思って…」
というAさんの話を聞き、B課長は自分の配慮不足を痛感。

それ以来、週一度の短時間でも集中して
Aさんの話を聞く時間を設けるようになりました。
すると、Aさんは見違えるように活発になり、
業務改善のアイデアを次々と提案するようになりました。





さて、如何でしょうか?
同じでないにしても、似たようなことは
大なり小なりあるのではないでしょうか?



この現実を踏まえ、私たち経営者やリーダーが
できることは何でしょうか?


いくつか挙げてみたいと思います。


1. 一貫性のある行動を心がける

言葉と行動を一致させましょう。
部下は私たちの小さな矛盾も敏感に察知します。


2. 定期的な1on1の時間を設ける

短時間でもよいので、定期的に業務の話だけでなく、
部下の考えや不安に耳を傾ける時間を作りましょう。


3. 心理的安全性を高める

部下が人間関係のリスクを恐れずに必要と思える
意見を言える環境づくりが大切です。
しくじり先生のように自分の失敗談を共有することも効果的です。


4. 積極的な関心を示す

部下の小さな変化や努力に気づき、
具体的にフィードバックしましょう。
「見ているよ」というサインを送り続けることです。


5.自分の態度能力に気を配る

自分の見た目、表情、仕草、声色、行動などの
非言語情報が部下に与える情報量を舐めてはいけません。
他の人からフィードバックもらったり、
自分でも出来るだけ客観視して、改善しましょう。



部下が私たちを「見抜く」のが早いです。

仮にそれが客観的・多面的に見て真実でなかったとしても、
部下にとっては、それが真実になります。
そして、それは簡単には覆りません。

私たちは日々、信頼に値するリーダーであり続ける必要があります。
完璧である必要はありません(無理です)が、
誠実で一貫性があり、部下の成長と幸せを本気で願う姿勢
があればよいと思います。


「自分の先入観で部下の成長を阻んでいないか」
「自分は部下の幸せを考えられているだろうか?」

という心配をお持ちの方であれば、
その気づきこそが良いリーダーシップの出発点になります。


今日から、目の前の部下ともう一度
じっくり向き合ってみませんか?


きっと、あなたのチームに温かい変化が生まれるはずです。

 


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