知的資産を守り、活かすという視点

チームSKM 経営コンサルタントの吉田です。

月曜日の池原さんのブログで「知的資産」の
可視化の重要性が語られていました。

ちょうど今週、弁理士の方による知的財産の研修会を
受講したばかりだったので、その内容と自分の過去の
経験を織り交ぜて、少し書かせていただきます。

<知的資産とは何か>
「知的資産」とは、企業が持つ「目に見えない価値」の総称です。
分類すると、以下のように整理できます。

「知的財産権」
(特許権、実用新案権、著作権、商標など、
 法的に保護される権利)

に「ブランド、営業秘密、ノウハウなど、
企業の競争力を支える情報や技術」を
加えたものが「知的財産」

そして、人的資産(従業員の経験・技術)、
組織力、経営理念、顧客とのネットワーク、技能など、
企業活動の土台となる要素を加わると「知的資産」になります。

簡単に言うと、「知的財産権」に
ブランドやノウハウが加わると「知的財産」、
さらに人や組織力などが加わることで「知的資産」
となります。

INPIT(工業所有権情報・研修館)教材>
皆さん、
「知って得する知的財産マネジメント」(INPIT)の
教材をご存じでしょうか?

知的財産に関わる17のリアルなケーススタディが
まとめられており、研修ではそのうち3つが紹介されました。
ここでは、印象的だった1つをご紹介します。

【展示会における模倣リスクと技術・
 デザインの流出対策】

ある企業が初めて展示会に出展した際、
説明員が熱心に話過ぎた結果、秘匿すべき情報まで
開示してしまい、翌年には改良された他社製品が市場に
溢れてしまったという事例です。

説明員は、
 相手の身元確認をせず、
 商品カタログに記載していない内容
(苦労話・開発経緯を交えながら)、
 デモを公開し、
 写真撮影もOKとし、
 アルゴリズムまで公開してしまったのです。
この会社のブースは大盛況で、成功したものと思っていました。

相手が顧客だけを想定し、
そこに競合他社が混じっていることを
考えなかったのです。



<自社の工場見学での気づき>

この話を聞いたとき、私は30年以上前に
自社で工場見学を企画した際のことを思い出しました。

当時、総務部門として主要サプライヤ60社との懇親会の
幹事を務めており、趣向を変えて工場見学を組み込んだのです。

自社を見て、仕入先様の気づきにつながればと思っておりました。

当社は代理店や有力顧客の工場見学を受け入れており、
商品力をアピールする場として活用していましたが、
仕入先様を対象にしたのは初めてでした。

自社の開発部の部長から何点か質問されたことを思い出しました。
下記のような内容だったと思います。

・今回の対象者は? すべて名簿は入手できているのか
・説明はどのような範囲
・工場見学コースは?
・従業員とのヒアリング機会は

結果的に、特に問題はないと判断して頂きましたが、

当時は「知的資産」や「知的財産」という意識はなく、
設備や工法、歩留まりなど、専門家が見れば参考になる
情報を無防備に見せていたかもしれません。

写真撮影は禁止していたものの、要所で注意を促した
記憶があります。


<まとめ>
自社の強みやノウハウの特異性に気づいていないケースは
少なくありません。

企業が持つ、社員が持つ「見えない価値」を可視化することで
気づきと可能性を引き出し、持続可能な経営と前向きな
組織づくりにつながるものと考えられます。

そして、それを守るのも活かすのも、やはり経営者や
リーダーの判断と意識にかかっています。

 


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