てんぷら屋での“ごはん事件”から考える、感情マネジメントと人の扱い方

チームSKM 吉田です。

<メニューにある“選択肢”から始まる物語>

メンタルヘルスマネジメントの資格試験を終えた私は、
「今日は自分へのご褒美だ」と、行列のできる人気の
てんぷら屋に並んでいました。

揚げたてをカウンターでいただけるスタイルで、
いつも満席の店です。

この店では、各種コースに加えて
「白米」か「あっさり茶粥」が選べ、おかわりも自由。

カウンター席へ案内され、
私は迷わず白米を注文しました。
隣には、私より先に注文を済ませたお客が
座っていました。


<ごはんとみそ汁の“いったり来たり”>

注文後、すぐに私の前にごはんとみそ汁が置かれました。
「早いな」と思った瞬間、店員の女性が「あっ」と気づき、
それを隣のお客の席に移動。
どうやら、隣の方の注文分を私の席に間違えて
置いたようです。

私は「まあ、あるあるだな」と思っていたのですが、
隣のお客がピリッと反応。

「人のところに出したものをそのまま出すのか?」

と、少し苛立った口調。


店員は一旦引っ込めて注文内容を確認し、
「ごはんでよろしいですか?」と聞き直します。
お客が「はい」と答えると、店員は再び同じごはんと
みそ汁を出そうとしました。

すると、またもや拒否。次はもっと強い口調で

「人の席に出したものをそのまま出すのはおかしくないですか?」

ここでようやく、店員は「注文の確認」ではなく
「提供の仕方」への不満だったことに気づいたようです。


結果的に、そのごはんとみそ汁は再び私の席に
戻ってきました。

私は「いったり来たり」の着地点になったわけです。
正直、私もほんの少し「もやっと」してしまいました。


 <「怒り」と「もやもや」の正体を読み解く>

この出来事は、ただの接客ミスに見えるかもしれません。
でも、メンタルヘルスの学びを通して見ると、
人の感情の動き方が少し見えてきます。

隣のお客の“怒り”の背景

隣のお客が怒ったのは、単に「衛生面が気になる」から
だけではないと思います。
人は、自分が「ちゃんと扱われるはず」と思っているときに、
それが崩れると強い違和感を覚えます。

・「自分はちゃんと注文したのに」

・「店員はそれを間違えた」

・「しかも一度他人の席に置いたものを、
  何事もなかったかのように自分に出そうとしている」

この「つじつまの合わなさ」が、
納得できなさとして心に引っかかり、
怒りに変わった
のかもしれません。

怒りは、実は「自分の感覚が無視された」と感じたとき、
心が自分を守ろうとして出てくる反応でもあります。

(※おそらく学びたての専門用語使うと
 神経伝達物質のノルアドレナリンによって
 引き起こされる 怒りという感情)


< 私の“もやもや”の正体>

一方、私は文句も言わず、ごはんをお替りし、
加えて茶粥もいただきました。
食事そのものには満足していたのですが、
なんとなく“もやもや”が残っていたのも事実。

この“もやもや”は、「怒り」ではなく、
「自分がどう扱われたのかが曖昧だったこと」から
くるものだったと思います。

・「自分の前に置かれたものが、実は他人のだった」

・「その後、何も言われずに戻ってきた」

・「自分は受け入れたけれど、なんとなく雑に扱われた気がする」


こうした感覚は、安心感の揺らぎや、
ちょっとした違和感として残ります。


誰かを責めるほどではないけれど、
心の中に小さな波紋が広がる。
そんな感情です。

<「人の扱い方」が感情を左右する>

この出来事を通して、あらためて感じたのは、
人は「何をされたか」よりも「どう扱われたか」に
敏感
だということです。

・言葉の意味よりも、伝わり方
・事実よりも、受け取り方
・正しさよりも、納得感

たとえ小さなミスでも、
「自分の気持ちをわかってくれた」と
感じられれば、人は安心します。

逆に、意図を汲んでもらえないと、
怒りや不信感が生まれやすくなります。


これは、職場でもまったく同じです。
部下や同僚が何かに「怒っている」「黙っている」とき、
その奥にある“気持ちのズレ”に気づけるかどうか。

それが、信頼やチームの空気を左右する場面は
少なくありません。


おわりに:感情を知ることは、人を大切にすること

てんぷら屋での“ごはん事件”は、
私にとって「感情の正体」を考えるきっかけになりました。
人の感情は、理屈ではなく「扱われ方」に反応します。

だからこそ、相手の言葉の奥にある気持ちに目を向けることが、
日々の関係づくりにおいてとても大切なのだと感じます。

この11月25日開催のさんよし会では
「メンタルヘルスマネジメント
    ~見逃さないための視点と対話力~」
をテーマにお話しします。

感情を理解することは、人を大切にすることの第一歩です。


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