本質や原点を知らずに言葉を使っていませんか?

チームSKM 上村です。

■ワークライフバランスという言葉を、今一度考える

少し古い話かもしれませんが、
高市早苗新総裁の発言で
「ワークライフバランス」という言葉が
改めて話題になりました。


「ワークライフバランス」という言葉は、
今では働き方の議論に欠かせないキーワードになりました。

 

一方で、最近は
“ワークライフブレンド”
“ワークライフハーモニー”
“ワークライフインテグレーション”
“ワークインライフ” など
似たような概念が次々と生まれています。

 

これらの言葉を見るたびに、
私は少し立ち止まって考えます。

 

これは本質的な議論なのか。
それとも単なる言葉遊びに寄ってしまっていないか。

 

もちろん、新しい言葉が生まれること自体は悪くありません。

 

しかし、意味をよく理解しないまま
「響きが良いから」「流行っているから」と使っていないか?
ということを今一度問いかけてみたいと思います。

 

■ まず立ち返るべきは、ワークライフバランスの“原点”

そもそも、ワークライフバランスとはどういうことか?
2007年の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」から
その言葉の本来の意味を考えたいと思います。

(参考:内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」

https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html

この憲章では、ワークライフバランスとは
単に「仕事と私生活を均等に配分すること」ではなく
次の3点を満たす状態だと示されています。

・働く人が仕事上の責任を果たせる
・家庭・地域生活・自己啓発などに時間を使える
・多様な働き方を選択できる環境が整っている


つまり「仕事を減らして余暇を増やす」という単純な議論ではなく、
人生の複数の領域が“排他的ではなく、互いに支え合う状態”をつくる。
これが原点にあります。
これを踏まえると、派生した多くの言葉も焦点は共通しています。

「混ぜる(ブレンド)」
「調和させる(ハーモニー)」
「統合する(インテグレーション)」

など表現が違うだけで

本質的に目指しているのは
仕事と人生の価値を対立構造で捉えず
互いを豊かにする関係性をどうつくるか。
というテーマです。

 

■ 言葉を増やす前に、まず“意味を理解する”

SNSやビジネス書で新しい表現が生まれると
どうしても言葉だけが一人歩きしてしまいます。
本来の意味や文脈を知らないまま、
キャッチーな語感に吸い寄せられてしまう。
しかし本質的な議論をしたいのであれば、


1.その言葉の“由来”と“定義”を理解する
2.良いところは素直に取り入れる
3.その上で、自分なりの批判や新しい視点を持つ

この順番が欠かせません。


例えば「ワークライフブレンド」は、
“仕事と生活を融合させて相互に良い影響を与え合うことで、
人生全体をより豊かにすることを目指す働き方”
と定義されています。

 

「ワークライフハーモニー」は、
“仕事と生活のどちらも充実させられるように、
互いの統合・融合を目指す考え方”
と定義されています。

 

そして「ワークライフバランス」の定義は、

“個々人の生き方や子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じ、
多様な働き方の選択を可能にする仕事と生活の調和”
とされています。

 

こう見ると、ワークライフバランスにも「調和」という言葉があります。

 

■ 大切なのは、世のトレンドではなく“自分の基準”

言葉は便利ですが、思考を曇らせることもあります。
元々の言葉ができた時の意図を見ると
ワークライフバランスにも「調和」が含まれています。

しかし、言葉が一人歩きを始めた結果
「ワークライフバランス=仕事と私生活を切り離してバランスを取るもの」
といった 負の解釈 が一部で浸透してしまうこともあります。


だからこそ、どれが正解というわけではなく、


自分にとって「ワークライフブレンド」の方がしっくりくる。
「ワークライフハーモニー」の方が合う。
やっぱり「ワークライフバランス」が自分の軸になる。


という“個人の基準”で選べばいいのだと思います。

 

その言葉が自分にとって意味を持ち
行動の指針として機能しているか。
大切なのはそこです。

 

他人が作った言葉に振り回されるのではなく
自分の価値観や環境に照らして
“自分にとってのワークライフバランス”を定義すること。
それこそが言語化の最大の効用だと思います。


自分たちで一から言葉を作る場合は、その定義をしっかりと行う。
外から引用する場合は、その背景を理解し、自分なりの意味付けをして使う。
その積み重ねこそ、働き方を豊かにしていく第一歩なのではないでしょうか。

 

■さんよし会のご案内

組織における土台は「理念」です。
理念はまさに組織として言葉を定義し、それが活動の軸になっています。
その理念を軸に経営をされている企業様を扱ったオンライン勉強会や、
実際の企業訪問ベンチマーク会などを行っております。
イベントはこちらのメルマガでも情報発信しておりますので、
ご都合とご興味の合う時はお気軽にご参加ください。


********
イキイキ働きたいカッコイイ大人のベースキャンプ「さんよし会」
https://s-kando.com/service/sannyoshikai