動ける人と動けない人

チームSKM 吉田です。


前回は、地方工場で起きた近隣火災の場面で、
部下たちが見せた「陰の立役者」の姿を紹介しました。

今回はその対照として、
私自身が 「なぜ自分は動けたのか」
を考えさせられた、
資格試験の模試会場での出来事を取り上げます。

模擬試験中に起きた「静止」

100人ほどの受験者で埋まった教室。
試験が始まってしばらく経ってから、
一人の男性が突然倒れました。

「ドサッ」
シャーペンを握ったまま崩れ落ちた姿は、
今でも忘れられません。

私は入り口近くに座っていましたが、
試験官は呆然と立ち尽くし、
周囲の受験者も固まって動けない。

中には、そのまま試験を続ける人すらいました。

私は
「これはただ事ではない」
と直感し、すぐに席を立って

「事務室に連絡してきます!」

と声を上げ、上階へ助けを呼びに走りました。

私の後を追う足音が一つ聞こえましたが、
教室内のほとんどの人は動けませんでした。

その後、少しずつ動きが生まれます。
倒れた人に声をかける人、
AEDを取りに走る人、
救急隊が入りやすいよう通路を確保する人。

しかし試験官はおろおろするばかりで、
事務室の責任者が来るまで明確な指示は
最後まで出ませんでした。


なぜ私は動けたのか~ 行動を決めた「準備」の正体~

私が動けたのは、
過去の経験が大きかったと思います。

会社においては

・ハシゴから落下し、頭から血を流した作業員に寄り添い
 救急車が来るまで声掛けを行った経験。

・脳梗塞で倒れた社員の症状を確認し、
 救急隊に状況を的確に伝えたこと。

・熱中症で動けなくなった運送会社の方の介抱したこと。

・尿管結石で悶え苦しむ社員への対応。

・総務責任者として、緊急対応を繰り返してきたこと
(衛生管理者の立場で企業内看護師と連携と取りながら)

・安全衛生の訓練で、非常時の動きを身体で覚えていたこと

さらに、
試験会場の構造
(7階が教室、8階が事務室)
を把握していたことも、判断を早めました。

つまり私は、
「動けた」のではなく、
「動く準備ができていた」

のだと思います。


火災現場との「決定的な違い」

この場面は、
前回のブログで紹介した火災現場とは
まったく対照的でした。

火災の現場では、

・救助
・消火
・通報
・誘導

と、必要な役割に応じて
「最も動ける人」が自然にリーダーとなり、
周囲がそれを支えていました。

まさに
シェアド・リーダーシップが循環していた状態です。

一方、試験会場では、

「勝手に動いてはいけない」
「指示があるまで待つべきだ」

という空気が支配し、全体が「静止」してしまいました。

同じ人間でも、
環境と文化が違えば、行動はまったく変わる。

2・6・2の法則も、
固定されたものではなく、
場の雰囲気によって姿を変えるのです。


シェアド・リーダーシップとは何か

火災現場で起きていたのは、
「その瞬間に最も適した人がリーダーになる」
という状態でした。

役職や役割・権限ではなく、
 
 ・気づいた人
 ・動ける人
 ・専門性を持つ人

が自然に前に出て、
周囲がそれを支える。

この役割の循環こそが、
シェアド・リーダーシップの本質です。

試験会場では、
その循環が完全に止まっていました。
だからこそ、
ほとんどの人が動けなかったのです。


「陰の立役者」が動ける組織へ

組織を強くするのは、
トップのリーダーシップだけではありません。

火災の現場で動いた部下たちのように、
「陰の立役者」が自然に動ける文化
つくれるかどうかです。

そのためには、

・行動が承認される雰囲気
・判断を尊重する風土
・役割が固定されない、柔軟な組織構造

が欠かせません。

試験会場での出来事は、
私に
「自分は動ける人でありたい」
と改めて思わせてくれました。

組織の中には、
必ず「陰の立役者」がいます。

その力を引き出せる組織こそ、
本当に強い組織だと、私は信じています。


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