2025年義務化 従業員を守る「組織の防波堤」カスタマーハラスメントに会社はどう立ち向かうか
チームSKM 吉田です。
「自分の対応が悪かったのかもしれません…」
理不尽なクレームを受けたあと、
そう言って俯く社員を、あなたは見たことが
ありませんか?
私も企業の窓口(総務部門)として
30年も昔の話ですが、クレーム対応をしていた時期が
ありました。
(私の電話だけ録音機能が備えつけられていました)
すごくストレスを感じた記憶がよみがえります。
近年、企業にとって無視できない経営課題と
なっているのが、顧客による著しい迷惑行為、
いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)です。
現場の従業員が一人で耐え、心をすり減らす時代は、
もう終わらせなければなりません。
2025年6月の労働施策総合推進法の改正により、
事業主にカスハラ防止措置を講じることが
義務化されました。(2026年以降施行)
これは「現場でうまく対応しなさい」という話ではなく、
組織として社員を守る仕組みを持っているかが
問われる時代に入った、というメッセージです。
<カスハラの本質:なぜ顧客は「突然」怒り出すのか>
現場では、顧客が急に怒り出したように
見えることがあります。
しかし心理的な構造を紐解くと、
実は「突然」ではありません。
1.「期待の構造」が怒りを生む
多くのカスハラの背景には、
顧客側の過剰な期待があります。
「客は神様なのだから、要求は通るはず」
「少しのミスも許されない」
「自分は最優先で扱われるべきだ」
こうした勝手に作られた理想像が、
現実の対応とズレた瞬間、感情が大きく揺れ動きます。
2. 幻滅が怒りに変わるプロセス
芦田愛菜さんは
「幻滅は、相手に裏切られた時ではなく、
自分の勝手な期待が崩れた時に起きる」 と語っています。
カスハラも同じ構造です。
期待が崩れ → 幻滅が生まれ → 怒りとして噴出する。
つまり、怒りの原因は従業員の力量ではなく、
顧客側の「過剰な期待」にあります。
<会社としてどう向き合うか:4つの必須措置>
厚生労働省の指針では、
暴行・脅迫・暴言・不当要求などが、
明確にカスハラに該当すると示されています。
これを踏まえ、企業には以下の対応が求められます。
(1)方針の明確化と周知
「カスハラは許容しない」という姿勢を、
社内外に明確に示す。
ルール化・研修・掲示物など、言葉と行動で
伝えることが重要です。
(2)相談体制の整備
相談窓口や報告フローを明確にし、
「相談していい」「会社が守る」という
心理的安全性を確保します。
(3)発生時の迅速・組織的対応
現場任せにせず、組織として事実確認と判断を行う。
必要に応じて警察・弁護士と連携し、
被害者のメンタルケアも同時に行います。
(4)再発防止と継続的改善
研修・マニュアル・仕組みの見直しを継続し、
「一度やって終わり」にしない姿勢が重要です。
<現場で社員を守る「具体的な盾」>
方針だけでは、社員は守られません。
現場で「本当に守られている」と感じられる
仕組みが必要です。
・物理的な防衛策
防犯ブザー・緊急通報ボタン
防犯カメラ・録音機能
客観的な証拠は、抑止力となると同時に
社員の安心材料になります。
・「助けて」の合図とチーム対応
隠語・ジェスチャーによるSOS
トラブル時は必ず複数人対応
「一人で抱え込ませない」ことこそ、組織の責任です。
迅速な応援体制の整備
<事後フォローが離職を防ぐ>
カスハラ後の対応は、社員の定着率に直結します。
迅速な事実確認と会社判断
・被害者への丁寧なヒアリング
・産業医・カウンセラーとの連携
・悪質な場合は会社主導で法的対応
「あなたは一人ではない」
このメッセージを
言葉ではなく行動で示すことが重要です。
<まとめ:組織の「防波堤」を築くという発想>
カスハラ対策は、単なるマニュアル作りでは
ありません。
それは、従業員という大切な財産を守るための
組織の防波堤を築くことです。
顧客の期待という波がどれほど高くても、
強固な防波堤(ルールと体制)があれば、
現場は安心して働けます。
この防波堤づくりを、経営者同士で学び合い、
実装していく場がさんよし会です。
「カスハラは個人の問題ではなく、
組織の仕組みで解決する」
「まずは情報交換からでも構いません。」
その第一歩として、ぜひ一度ご相談ください。
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